第6話 決戦は金曜日 ①
『えっ?』
たぶん自分史上1番低い声が出たかも。
その声に驚いたのかメルモが慌てたように答える。
『安心して😊フォロバもその枠にも行ってないから』
そのコメントにホッとため息をついた。
え?なんだこのため息?
トット…前に俺のリスナーに一斉にフォロー仕掛けた時にその名前を聞いた事はある。その時にも思ったけど俺そいつに何かしたか?
『レオくんと同期だって聞いた事あるよ』
俺の疑問に答えるようにモルが答えた。
確かに配信歴は同じだったかもしれないけどだからって……
トットと言うのはイケカテの中の所謂イケボ配信者だ。だけど俺と違って一切顔出しはしない。どこかから拾ってきたアニメ風美少年のイラストを配信画面に使っている。
『1度だけ理由を聞いたのよ。トットに…』
モルの話によると……
まだアイコンの横に若葉マークがついていた俺とトットは配信者としての最初の試練と言われている配信学校みたいなものを卒業しなければならなかった。
1年生から6年生までまるで小学生みたいだと思ったけどそれを卒業してやっと若葉マークが取れるって寸法だ。
1年からずっと1位だった俺の後ろには常にトットがいたらしい。いつかは俺を抜かして1位になるのを狙って。
そんなある日、運営から1通のお知らせが届いた。〚4年生ですが飛び級で今回で卒業と致します〛の1文と共に卒業証書の画像。
卒業までに俺を抜かしてやるって目標を失ったヤツは意固地になっていった。
どんな手を使ってでも俺に勝つ!それだけが目標なのか?
『レオくんが配信休んでる間はそれでも結構穏やかだったんだけどね』
モルに言わせると俺の復活を知ってからは急に態度がおかしくなったらしい。女の嫉妬より男の嫉妬の方が根が深いとは聞いた事があるけど…そこまでとはね。
『私から吸い上げるだけ吸い上げといて、メルモちゃんにまで近かづこうとするなんて…許せないよ💢』
『ね〜レオくん、なんかコイツにひと泡
吹かせる方法ないかなぁ』
黙っていたメルモがコメントを打った。
『イベント出ましょう!』と。
『いやイベントって言っても実際問題、ここにいる3人しか居ないわけだし…』
口には出さなかったけど元々無課金のピノコやトットに搾り取られたモル。これでイベントを戦い抜くにはあまりにもメルモの負担が大き過ぎる……。
そんな俺の気持ちを察した様なメルモのコメントが続いた。
『大丈夫、大丈夫👍』
『私に任せて(๑•̀ㅂ•́)و✧』と……
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