【5】洞窟の奥へ奥へ

≈≈≈


「その人も連れてくの?」

「アア、ツレテク」

「ヨ、ヨロシク…オ、オネガシマス。…オ、オセワニナナリマス…マ【マレナル、ウ、ウルワシキ、タ、タカラモノ】デス…」


 優しいゴブリンの話し方を聞いて、魔女の態度が変わった。優しいゴブリンは、“どもり”はするものの、骨ピよりもしっかりとした文法ぶんぽうで魔女に話しかけている。


「……私は知恵あるものを歓迎かんげいする。そうね、貴方のことは『ウンラロ』と呼ばせてもらう。私のことはサキと呼びなさい」


 魔女は優しいゴブリンにも、骨ピと同じく名前を付けた。『ウンラロ』と呼ばれたゴブリンは新しい名が気に入ったらしい。ウンラロ…ワ、ワタシ…ハ…ウンラロ…と何度も繰り返している。


「じゃ、今度こそ行くわよ!着いてきなさいっ!」


 そう言った魔女は二人のゴブリンの先に立ち、洞窟の出口とは逆の方に向かって歩き出した。

 洞窟の『』と足早あしばやに向かう魔女の後ろ姿を見て、お互い目を見合わせた骨ピとウンラロは、同じタイミングで肩をすくめたあと、魔女を追って歩き出した。




To Be Continued.⇒【6】

≈≈≈

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