第112話 エピローグ 動き出す奇人

 本来なら大きな被害を齎すはずの氾濫は無事に世間に知られることなく収束した。


 干渉器で魔物が湧く速度も調整できたから可能な限り早めたのが功を奏したと思っておこう。


(経験値的にも大分美味かったしな)


 たったそれだけの時間で新しいスキルが一つ手に入った上にランクも11になったのだから十分だろう。


 なによりあのE級の魔物でも問題ないと確かめられたのは助かったし。


 飯崎さん達も最後の方などは政府官僚などに資料として見せたいからカメラに映るように倒してくれないか、とかの要望を出すくらいの余裕すらあったくらいだ。


 それに応える俺も俺だと思うが余裕だったから別にいいだろう。


(それにしてもB級とA級が御使いの関係者とはね)


 たまたまあいつらだけがそうだった、なんてことはたぶんあり得ないだろう。


 恐らく他にもそういう奴はいる。


 


 でも今にして思えばそれも納得できる。自分で言うのもなんだがノーネームのメンバーはどいつもこいつも癖がある代わりにその実力は一流だった。


 だけどそんな俺達ですら五年で辿り着けたのはC級でありランクも30代で40まで到達している奴は誰一人いない。


(それ以上の奴らは御使いがレベリングしてるとかか? あるいは特殊なスキルを与えられてるとかならその状況にも説明が付く)


 俺がアマデウスから与えられたスキルで異次元の成長を見せているように他の奴らも普通では不可能な手段を用いているのではないか。


 それは御使い達からしても望むべき状況だろう。


 何を企むにしても自分達の影響下にある奴らが力を付けるに越したことはないだろうし。


「となると俺ものんびりしてる訳にはいかないな」


 これまでは気付かれていなかったかもしれないが、アーサー達と対面してしまった以上はそれもここまで。


 もしかしたら情報共有されないこともあるかもしれないが、それに期待するのは楽観的過ぎるというもの。


 そして気付いた奴らがまた何か仕掛けてきた時、対抗できる力を付けておかなければならない。


 でなければまた今回のように良いようにやられることになるのだから。


(いいぜ、そっちがその気ならやってやろうじゃねえか)


 とりあえず敵の一つが英国を縄張りにしているのが分かっている。


 ならばこちらも同じことをするのみ。


 敵の何が目的なのかなんて俺の知ったこっちゃない。


 まずは日本を俺の縄張りにして、下手に手を出せば痛い目を見ることになると教え込んでやる。


 もしかしたらそれは御使い同士の縄張り争いに足を踏み入れることになるのかもしれないし、あるいは想像もしていない事態に巻き込まれる原因となるかもしれない。


 だけどそうだとしてもこのまま何もせずにやられっ放しで終わるのは御免だ。


「俺は負けるのが嫌いだからな」


 試練の魔物相手だろうと、A級探索者だろうと、果ては御使いだろうと関係ない。


 勝つのは俺だ。


 そして負けたままで終わるつもりもない。


「そんでもって絶対にやり返してやるから覚悟しとけよ」


 最初のターゲットはA級探査者。


 獄炎の双剣士と名高いアーサー・ウィリアムズである。


 アマデウスはあの騒動の後はまたダンマリを決め込んでいる。


 でも止めてこないところみると反対している訳でもないだろう。


 本当に不味い事態だと判断した時はきっと氾濫の時のように口を出してくるだろうし。


 そうして改めて強くなることを俺が心に誓った少し後。


 思わぬ形で日本の五人目のB級探索者が誕生することになるのだった。


―――――――――――――――――――――


これにて第三章は完結です。


ここから主人公が一段と周囲を驚かせながら強くなっていく予定ですのでお楽しみに。


それと第三章で出す予定だった話は幾つか第四章に持ち越しとなりました。

主に錬金武器とかのことですね。

まとめきれなくてすみません。割と早めに出すつもりではあるのでご容赦ください。


またこの作品は書籍化を目標として書いています。

もし少しでも応援して良いという方がいたらフォローや星評価をしてくれると嬉しいです。


加えてここまでの感想なども送ってくれると書くモチベーションになるので是非ともお願い致します。


さて、次回は「設定集その3」を挟んでその後から第四章 五人目のB級誕生と事業拡大編が始まる予定です。


乞うご期待!

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