第7話 vs『炎刀』
抜刀術、真上から真下に斬る唐竹斬り、右上から左下を斬る袈裟斬り、真横に切り裂く薙ぎ……などなど、様々な型を、二刀流のそれも含めて訓練すること一週間。
ようやく、少しは剣術の基本が身についてきた。
––––閃撃・終
俺は
すると、すっぱりと綺麗な断面を見せてモンスターがどちゃりと地面に崩れ落ちた。
「……ふむ。いいではないか。断面も綺麗だ」
「ありがとうございます」
綺麗な断面、ということは、きちんと刃筋を立てて斬れているということだ。
「納刀もきちんと成功している。もう抜刀術を連続で放つこともできるだろう?」
「ええ」
抜刀術を連続で放つなどというのは、以前の俺では不可能だった。これを身につけただけで、訓練をした甲斐があったというものだろう。
ちなみに、この抜刀術が終わった直後に納刀する納刀術とでも言うべき技術を身につけるまでに、百本や二百本ではすまない指が犠牲になった。
もちろん、ポーションによって全て回復したが。
「なかなか型も良かった。それじゃあ、手合わせと行こうか。型……というより、型を形作る要素をきちんと意識しながらな」
そういうと、咲良さんは刀の柄に手をかける。
「行くぞ」
咲良さんはそういうと、地面を蹴る。
––––抜刀術!
初日と同じ技。
俺も同じように地面を蹴り、抜刀術を放つ。
バチンという金属が打ち合わされる音がして、双方が弾かれる。以前は完全に打ち負けたが、今回は互角といったところか。
確かな成長を感じる。
「ほう、なかなかだな」
咲良さんは慌てた様子もなく、突き攻撃を連続で繰り出してくる。
なかなかいやらしい位置に突きのポイントが配置されていて、対応しにくい。
俺は全てに刀で対応するのを諦めて、回避をおり混ぜながら、抜き放ったもう一本の刀で反撃を加える。
「そんなものか?」
咲良さんはこちらの攻撃を回避すると、高速で納刀し、抜刀術を放つ。
––––間に合わない!
今から納刀から抜刀という動作をしても、対応することは不可能だ。
俺は代わりに、抜刀術を撃ち落とすという選択を採る。
抜刀術の軌道を慎重に見定めて、二刀を振り下ろす。
抜刀術の加速を考えると、二刀でないと抑えられないという判断だ。
狙い通り、抜刀術の軌道が大きく下に逸れる。俺は刀を抑える二刀のうち一刀を使い、咲良さんに攻撃をする。
すると、キイン……とバリアにようなものに斬撃が弾かれた。
「ふむ。やるじゃないか。型もしっかりと使えていた。最後の攻撃もなかなかいい……合格だ。私の役目はここまでだな」
「ありがとうございました」
同等のパワーとスピードで剣術のみの勝負……というレギュレーションでの戦いではあるが、一本取れるまでに成長したのは十分な成長だろう。
俺は刀を納刀して一礼して、ここまでの成長に導いてくれた咲良さんに感謝の言葉を述べた。
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