エピローグ
お風呂にも入り、精神的に疲れた俺はベッドに倒れ込んだ。
「……んー」
澄火は俺に布団をばさりとかけると、ごそごそと潜り込んでくる。
そして、俺の腕の中できゅっと丸くなった。
「大丈夫?」
「……まあな」
俺は澄火の頭に手を伸ばす。
「……ん……」
お風呂上がりでサラサラしている澄火の頭を撫でる。
澄火は心地良さそうに体を弛緩させる。
戦いの後まだ癒えていなかった心の傷––––さっきの電話によってさらに拡大した傷が、徐々に癒されていくのを感じる。
「そういえば……」
「……んにゃ?」
「澄火の親はどうしてるんだ?かれこれ一ヶ月間外泊してるけど」
「……もういないから大丈夫」
もういない……
それは一体どういう意味の『もういない』なんだろうか?
もう死んだという意味なのか、あるいは縁を切ったといい意味なのか。
前者であれば、死因はなんだろうか?自殺?他殺?病気?事故?
「……ん」
……いや、俺があれこれ考える必要はないか。
俺はぐるぐると勝手に回り続ける思考を強引に止める。
「いつか……話してあげる」
「……そうか」
俺は先ほどの戦利品検証の場面を思い出す。
澄火は、何をしても落ちないとユニークスキル持ちが断言した汚れをあっさりと落としてみせた。
何をしても落ちない……ということは、ただの汚れではなく、呪い……それも、ユニークスキル以上の格のものが原因の可能性が高そうだ。
それをあっさりと落としたということは……そして、紫電にはそんな能力が含まれていなさそうだということを考えれば、澄火はもう一つ、ユニークスキル級の能力を所持しているということになる。
おそらくその辺りが関係しているんだろうなと考えつつ、俺はアム・レアーでパチリと部屋の電灯のパネルスイッチを押す。
ふっと灯りが消え、部屋が夜の闇に包まれる。
このアム・レアー、今回も大活躍だった。そろそろ、プロジェクト####の残り三つのピースも集めなくては。
明日はゆっくりするとして……明後日にでも、羅針盤が動いていないかどうか調べてみることにしよう。
「……ん、おやすみ」
「おやすみ、澄火」
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