エピローグ

俺はニャルトラステップで女性たちがいたところへと飛ぶ。


「……燃えろ、紅刀」


俺はMPを鯉口を切った紅刀へと込める。

炎が刀から溢れ出し、部屋中のあらゆるものを燃やしていく。


彼女たちにも、この国が滅びた原因はある。

勇者の心を傷つけたこと。与えられた役目(その是非はともかくとして)を果たさなかったこと。挙句の果てには、勇者を暗殺したこと。


しかし、彼女たちはその身に余る罰を受けた……ならばもう、赦されてもいいだろう。


眠れ。炎と共に……


俺はしばし黙祷を捧げる。


「……行くか」


火は収まることなく猛っている。

おそらくはこのまま城、そして城下町まで焼き尽くすと思うが……まあ、それはそれでいいだろう。


「……ん」


澄火は『纏雷』を発動させ、城を飛び出した。俺も『加速装置』状態になり、澄火を追う。


邪勇者を倒してステータスが上昇しているおかげか、俺たちはあっという間に扉へと辿り着いた。


「……ん。ちゃんと開く」


澄火はぐいっと扉を押し開ける。


「……帰ってきたな」


おそらく滞在時間は十時間にも満たない時間だったと思うが、なんだかもう一週間は経過しているような気がする。


……なんて思っていたら、本当に一週間経っていた。


地上に出て駐屯地の司令部へと向かうと、司令が血相を変えて飛び出してきた。


「ご無事だったんですか!?」

「ええ、まあ」

「一週間もの間潜ってらしたので、てっきり戦死したものだと……」

「縁起でもないこと言わないでください。ステータスがあるので、一般人よりは格段にサバイバル能力高いですよ」


一応、異世界(多分)へ行っていたことは隠しておこうと思う。

ダンジョンの外でステータスの力が使えることと同じように、これも秘密にしているかもしれないからだ。


「お腹減ってませんか?よろしければ、近くの美味しいご飯屋を紹介しますけど」

「ぜひお願いします……あ、こちら報告書です」


俺は書類データをメールで送信する。

潜っている途中にコツコツ貯めたものを、戻ってくる途中に文章に直した物だ。


「これはご丁寧に。では、部下に案内させましょう。本日はお疲れ様でした」


そういうとぺこりと司令は頭を下げる。

入れ替わるようにずいっと小柄な女性が出てきた。


「さあ、行きましょう!美味しいご飯屋さん巡りへ!」


そういうと、女性はぱーっと駐車場の方走り出した。なかなかに愉快そうな女性だ。


俺たちは顔を見合わせて、女性へとついていくのであった。

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