お菓子店の経営に夢中な私は、婚約破棄されても挫けない！

第5話 スタッフ達との緊急会議

　屋敷に戻り、お父様に婚約破棄とお菓子店の営業の件について報告している間に、執事のパトリックが菓子店のスタッフ達を招集してくれたようだ。

「これから、すぐに向かいます」

「馬車を用意しております。こちらに」

　すぐに会議が行えるということで屋敷を出発して、スタッフ達が待っている場所へ馬車に乗って移動する。

　今日は本当に忙しい。お城に行き、自宅に帰って、次は会議を行うためにお店へ。だけど、休憩している暇は無い。時間を無駄にしないように動き続ける。今はただ、前に進むのみだ。執事のパトリックも手伝ってくれて、スムーズに動けていた。

　大切なお菓子店を守るために、どうするべきか考えて行動し続けないと。このまま閉店して、終わらせるなんて嫌だから。

「到着しました」

「行きましょう」

　お店の前で馬車が止まった。私が考えている最中にパトリックが目的地に到着したことを知らせてくれたので、急いで馬車から降りる。

　そこは、私が経営しているお菓子店の本店。王都では、他にも何店舗か経営をしている。私は、本店の裏口から建物の中へ入る。

　馬車から降りた時にチラッと見えた表の道。お菓子店の前には、大勢のお客様達が並んでいた。今日も、お店は大繁盛しているようだ。ありがたい。嬉しいことだけれど、今は喜んでいる暇もない。残念だ。

「シャルロッテ様！　お待ちしておりました」

「ごめんなさいね、こんな忙しい時間に集まってもらって」

「いえいえ！　大事な話があると聞いて、我々は急いで駆けつけましたよ」

「ありがとう、シンディさん」

　いつもは、新作の商品や新しいサービスについての話し合いを行う会議室。そこに集まっていた、各店舗の店長達。

　私の声に答えてくれたシンディさんは、お菓子店の営業を始めた当初から働いてくれている、経験豊富で元気な女性店長。王都中央にあるお菓子店は、彼女にサポートしてもらっていた。

　続けて２人の男性が、私に質問する。

「それで、大事な話とは何でしょうか？」

「かなり大変な話だと、パトリックから聞いているが」

　王都東側にある店舗の店長を任せているレオンさん、王都西側にある店舗の店長を任せているギルバートさんも来てくれていた。

　レオンさんは、人の良さそうな顔の青年。いつもニコニコしていて、怒っているところを見たことがない。そんな彼は、金勘定にものすごく厳しかった。

　ギルバートさんは、王国兵士のような鍛え上げられた体の持ち主。けれど、見た目とは真逆で穏やかな性格をしている。そして、意外と甘いものが大好きな男性だ。

　そんな２人の男性が、私を見ている。とても真剣な表情だった。

　私とパトリック、シンディさんとレオンさんにギルバートさん。この主要な５人のメンバーが会議室に集まって、これから緊急会議を開く。とても頼りになる人達が、お菓子店の忙しい営業中に来てくれた。彼らの協力があれば、きっと上手くいくはずだから。

　席についた瞬間に、私は本題に入った。