第2話 テイマーの俺 白いコボルトをテイムする その2

なんとか抱き付いてきたコボルトを引き剥がす。


「きゅーん💧」(何でですかー💧)


引き剥がされたコボルトは何だか悲しそうな表情をし、鳴き声を上げる。


「そんな鳴き声出したって駄目なものは駄目! お前バッチいんだから!」


俺がそう言うと、コボルトは " ガ~ン! " みたいな表情をした後、落ち込みその場に蹲り、指(?)で地面にのの字を書き出した。


どうやらこのコボルト、俺の言っている言葉が解るみたいだ。 


……うっ! 何だか心が痛い! 


……なんだかなぁ。


「お、おい、わ、悪かったよバッチいって言って。謝るから元気だしてくれよ。 お前はバッチくないから。大丈夫だから。 なっ? だから地面にのの字を書くの止めてくれ」


と慰めると、コボルトは俺の方を向いて 


「キュ~ン?」(本当に?)


みたいな鳴き声を出す。


「ほ、本当だから。 だから、なっ?」


「キャン!」(分かりました!)


と元気な鳴き声を出してその場に立ち上がってくれた。


「と、とりあえず家に帰るか。歩けるか?」


「キャン!!」(勿論です!)


俺はコボルトに声を掛けてダンジョンを後にした。 コボルトは俺の後をしずしずと二足歩行で付いてくる。


……何だか女の子みたいな歩き方だなこのコボルト。


俺はコボルトを連れて自分の住んでいるアパートに戻る事にした。


案外テイマーをしている人は多くて、街中はテイムした魔物を連れて歩いている人が見られる。


狼だったり、スライムだったり、中にはミニドラゴンも居たりする。


当然コボルトを連れている人も居た。


……明日ギルドにテイム申請しに行かなくちゃな。



アパートに着いた俺とコボルトは玄関の鍵を開けて部屋の中に入った。


うっ!? 滅茶苦茶鉄臭い!! なんだこの臭いは!?


いきなり俺の鼻に ガツン!! と鉄臭さが漂ってきた。 まるで血液が乾いた時の臭いだ。 ……って臭いの元はこいつか。 このコボルト全身血塗れだもんな。


……寛ぐ前に先ずは風呂かな。 こいつの身体を洗わないと鉄臭くてしょうがない。


「ちょっと付いてきて」


俺はコボルトに声を掛ける。


「キャン?」(何でしょうか?)


コボルトは大人しく俺の後に付いてきた。


俺はコボルトを連れて風呂場に移動。


「今からお前を洗うから、大人しくしろよ」


「キャン?」(何されるんでしょうか?)


コボルトを浴槽の中に入れて、身体にシャワーを掛けた。


「キャイン!?」(わっ!?)


ボディソープを手に取りコボルトの身体を洗う。


たちまち泡が真っ黒に染まる。血液まみれだったから、何度も洗わないと綺麗にならないな。


4回程 ボディソープを付けて洗う→シャワーで流す を繰り返したら、やっと元の毛の色に戻った。 洗っている最中、コボルトは


「キャ~~~ン♪」(気持ちいいですぅ♪)


と本当に気持ち良さそうな表情をしていた。 洗っている俺は滅茶苦茶疲れたけど。


洗い終わったコボルトを見る。 こいつ……毛の色真っ白じゃないか。 珍しいよな真っ白なコボルトなんて。 コボルトは茶色しか確認されていないんだよな。


「さて、洗い終わったから乾かさないとな。持ち上げるぞ?」


俺はコボルトの脇に手を入れて持ち上げた。


「キャイ~ン!」(いや~ん!)


持ち上げられたコボルトは物凄く恥ずかしそうな鳴き声を出して悶えていた。 持ち上げた際、コボルトの股関辺りが目に止まった。


……付いてない。 という事は、こいつ雌か。


俺は脱衣場にコボルトを連れていき、バスタオルで毛に着いた水滴を綺麗に拭き取った。 そしてドライヤーで丁寧に乾かした。


全ての工程が終わった後、コボルトからはボディソープのフローラルな匂いがしてきた。


うんうん。よしよし。鉄臭く無くなったぞ。


コボルトは自分の身体から香るフローラルな匂いを一生懸命嗅いでいた。


……可愛いな。


さて、いつまでもコボルトじゃ面白くないから、名付けをしようかな。


さて何て名前にしよう……。







ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m




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