プナキア
「時々虚しくなることがありました」
私は言う。ネピル様はただじっと聞いてくれていた。
明日軍が攻めてくるとネピル様から聞いたのは、ほんの数時間前のこと。罠の作成が完了した後、私達は少しだけ話をしていた。
「とても楽しい毎日なのに、私たちの生活は、いつも嘘とともにありました」
ネピル様は答えなかった。
「ステラ様を守るために、外の存在も事実も隠し、ねじ曲げてきました」
「・・・人間がもう滅んだ、とか・・・あの子には都合のいい嘘をたくさん言ってきたものだよね」
ネピル様は、自嘲気味に笑った。彼はいつも、言い訳をしない。
「僕らがボリジンになったのは、ステラと出会った頃だったね」
私は、ステラ様と初めて巡り合った日を思い返した。
私たちには、選択肢はなかったのかもしれない。下手な嘘をつく以外に、守るという方法を得ることができなかった。それがステラ様にとって、正しかったのか、今となっては分からないけれど。
「・・・そろそろ、ですね」
私は囁く。多くの言葉を重ねるよりも、私たちの間に流れる空気を大事にしたかった。
ネピル様は私に微笑む。今まで見た中で一番優しい目をしていた。
「ステラのことを頼んだよ」
私はただうなずいた。最後に彼と、「またね」を交わした。
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