ネピルとシャイニー

外の気温は低かった。シャイニーを市場まで送るため、夜の森の中を歩いていく。深緑の木々が、僕たちの視界を遮って並んでいる。不気味な場所だと、いつも思う。

 シャイニーが口を開いた。

「伝えなければいけないことがあるの」

 その声は囁きよりも静かだった。僕は不思議に思いシャイニーを見つめる。シャイニーの放つ白い粒子が、道先をぼんやり照らしている。

「デルタ隊が、明日、あの洞窟の捜索に乗りだすわ。市場で買った情報よ、間違いはないはず」

こんな日がいつか来ると思っていた。

 梟が一声鳴いて、シャイニーは息を吸い込む。

「私にできることがあれば、なんでもやるわ」

 シャイニーの辛そうな表情に、不安だけが膨れ上がっていく。

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