絵画教室
むーが
親密な二人
窓から覗いているのは一面が白に覆われている面白みがない空。
ボーッとそれを眺めていた。
ただ、これから見せつけられるアレから現実逃避をしていたかったんだ。
ふと前を見ると先生がいた。
先生の名前は安堂佑樹さん。
中性的に見えるけど男だ。顔はそれなりに整っている。いわゆるイケメンと言われる部類。髪は短めで、さっぱりとした印象だ。
先生は真面目で丁寧に教えてくれる。教え方も上手いので他の教室にはない良い点だと思っている。
なので私としては助かっているけど、なんで絵画教室の先生をしているのかは知らない。
この人は私が現実逃避をしたくなる一因だ。
そんな先生の事はさておき壁にある時計を見る。もう始まる時間だ。
気持ちを切り替える為に手を組み上に伸ばした。
体が伸びて気持ち良い。
体を伸ばすのを止めて先生の方を見る。
先生は腕時計を確認してから見回す。
「全員揃っていますね。では始めます。いつもと同じく好きなようにに描いてみてください」
皆、絵を描き始めた。
しばらくすると一人の女が眉を曇らせて手を上げる。
「安堂先生、ここってどうすれば良いですか?」
その人の名前は田辺司さん。綺麗な顔立ちをしていて髪はロング位。
何故だか知らないけど先生と仲が良い。
言わずもがな、この人と先生がセットで現実逃避をさせたくなる原因だ。
現に田辺さんが質問すると先生の顔が柔らかく笑うのだ。
そして田辺さんの所に行き、教えている。
美男美女で大変お似合いだが、わざわざ、この教室でやらなくても良いのでは? と思ってしまうのは私だけなのかな。
これはまだ序の口だけど、あまりに甘い雰囲気になるので初めは困惑した。
前に、あったのは、何故か先生と田辺の距離がピッタリくっつきそうになるほど近過ぎる時。
思わず突っ込みを入れそうになった。
でも私は知っている。この教室の中でも一番、絵が上手いのは田辺さんだと言うことを。
皆さんの作品を並べて観賞した時に先生に教わる必要があるの? って言うほど圧倒的な表現力だったのだ。
だから分かりきっている所を質問して何か話しているんだと思う。
後、たまに二人してこっちを見てくるのも何がしたいのか分からないので怖いのもある。
それに、先生に質問する度、田辺さんがこっち見てくるのは正直言って止めてほしい。
目力が、半端じゃないから! 私を見ても何もしてないからね!?
それでも先生のお陰もあり私の表現力が、かなり上がっているので通わざるを得ない。
そんなこんなで時々、先生に教えてもらいながら長いようで短い、いや、かなり長かった授業が終わった。
今日も早めに帰る準備を進めて一目散に教室を出ていく。
気晴らしにラーメン屋でチャーハンを食べに行こう。そうしよう。
絵画教室 むーが @mu-ga
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます