第17話 邪教が来たよ
ある日の夜だった。
森の中から、人間の悲鳴が聴こえてきた。
そしてそのしばらくしてから、森の中から黒ずくめの人間たちが現れた。
黒ずくめの人間たちは、マントを羽織っていた。
マントには、エルドウィッチ教の紋章が描かれている。
まさか、またあいつらやってきたのか……?
だが、おかしい。
俺の周りの森には、モッコロの用意してくれた見張りがいるはずだ。
モッコロは俺を外敵から守るために、見張りを常につけている。
おかしな連中がやってきたら、彼らが黙っていないはずだ。
ちなみにだが、モンスターなどには見張りはなにもしない。
モンスターなどは森の生態系の一部だから、手を出したりはしないのだろう。
それに、俺のためにスライムが水を持ってきていることなども、モッコロは理解していた。
モンスターが世界樹である俺になにか害を加えたりすることはないので、モッコロの見張りはモンスターには反応しない。
だが、エルドウィッチ教は前に俺を掘り返そうとして、モッコロの見張りたちに追い返されていたはずだ。
だから、彼らがエルドウィッチ教を素通りさせるとは思えない。
エルドウィッチ教の連中は、今度は武器を持っていて、武装していた。
そして、彼らの持つ武器には、血がべっとりとついていた。
なるほど、モッコロの見張りたちは殺されたのか……。
なかなか酷いことをする。
だが、モッコロの見張りは優秀だ。
きっと逃げのびたやつが、増援を呼んでいるはずだが……。
エルドウィッチ教の目的は、おそらくはまた俺だろうな。
世界樹の力を独り占めするつもりなのだ。
だが、今では俺の周りには村が出来ている。
モッコロの護衛たちだけでなく、村にはゴブリンやワーウルフたちがいるのだ。
エルドウィッチ教は、そこが誤算だったな。
エルドウィッチ教が村に近づいてくると、すかさずゴブリンとワーウルフたちがそれに立ちはだかる。
「なんだお前たちは」
「我々はエルドウィッチ教! ご神木様のもとに勝手に村をつくるとはけしからん! ご神木を返せ!」
「なにを勝手なことを言ってるんだ……? 世界樹様は誰のものでもない!」
エルドウィッチ教たちは村のみんなに武器を向けた。
そして、戦いが始まった。
ゴブリンたちは強かった。
とくにオークは最強だ。
ワーウルフたちも、そんじょそこらの人間には負けない。
戦いはあっという間に決着がついた。
「っく……なんだここのモンスターは、やけに強い……! 撤退だ……!」
エルドウィッチ教の連中は、戦力を半分も失うと、一目散に逃げていった。
よし、さすがは俺の村の仲間たちだ。
よく俺を守ってくれた。
俺は巫女たちを通じて、みんなに礼を言う。
「みんな、変な連中から守ってくれてありがとうな……!」
「いえいえ、世界樹様をお守りするのは当然です……!」
モッコロの見張り達がやられてしまったのは残念だったが、なんとかなったみたいだな……。
エルドウィッチ教か……しつこい連中に目をつけられてしまったな。
このまま、あきらめてくれるといいんだが……。
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