第10話 ゴブリンの村だよ


 あれからゴブリンたちの村は順調に発展していっている。

 当面の食料に困っていたようなので、俺は木の実を落としてやった。

 すると、ゴブリンたちは木の実をむしゃぶりつくした。


 木の実を食べたことで、ゴブリンたちも進化したようだった。

 ゴブリンがゴブリングレートに進化し、下っ端のゴブリンたちも話せるようになっていた。

 今ではむしろ人間みたいな感じになっている。

 緑の肌をした人間って感じだ。


 今まではゴブリンは背も低かったしスタイルも悪かった。

 だけど進化したことで、みんなそれなりに体格がよくなっていた。

 雌のゴブリンも、普通にスタイルがよくなっていて、普通にかわいいと思えるくらいだ。

 中にはけっこうグラマラスな子もいる。


 顔も、ほとんど人間と変わらないように見える。

 違うのは肌の色と耳だけだ。

 夜の祭りのときに、可愛い雌のゴブリンたちが薄着で踊ったりする。

 俺はそれが楽しみでしかたがなかった。

 動けないぶん、せめて目では楽しみたいからな。

 いい目の保養だ。


 男のゴブリンたちも、屈強な身体のやつが何人かいた。

 ムキムキのゴリラみたいなやつらもいる。

 むしろゴブリンっていうよりオークに近いだろ……。


 それから、俺の木の上に住んでいた蜘蛛たち。

 蜘蛛たちはゴブリンと意思疎通して、なんとか仲良くやっているようだ。

 お互いに俺から恩恵を受けたものどうし、喧嘩せずにやってくれている。

 

 フォレストスパイダーたちはさらに進化して、アラクネーになっていた。

 アラクネーは人型の種族だ。

 アラクネーは上半身はほぼ人で、下半身が蜘蛛の生き物だ。

 アラクネーに進化したことで、彼らも言葉を話せるようになっていた。


 ゴブリンたちと普通に会話できるので、問題も起こらなさそうだ。

 アラクネーの首長が、ゴブリンの村長の家で会談をするところも見た。

 どうやらお互いに納得のいく話し合いができたようだ。

 そういうのを見るのも面白い。


 アラクネーたちが住むのは俺の上で、ゴブリンたちが住むのは下だ。

 だから居住領域がかぶっていないから、喧嘩にもならなかったのだろうな。

 ゴブリンたちはアラクネーたちに、ゴブリン酒を提供する約束をしたようだった。

 その代わりに、アラクネーたちは蜘蛛糸で編んだ洋服を、ゴブリンたちに提供することになったらしい。

 俺もアラクネーの布には助けられている。


 他にも、アラクネーたちはゴブリンに布団を作ってやったりもしていた。

 ゴブリンたちはゴブリンたちで、アラクネーの家をツリーハウスみたいな感じでつくってやったりしていた。

 お互いにウィンウィンで理想的な関係だ。


 そうやって、どんどんアラクネーの村もゴブリンの村も発展していった。

 いつのまにか、俺のまわりにはたくさんの命が輝いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る