第8話 そんなはず…

僕は学校へと向かった。

先輩と待ち合わせをし、いつものように学校へと、歩いていく。


道中、不思議な女の子とすれ違った。

なんだろう、すごく懐かしい。


僕の学校と制服が同じだった。

だがあんな子見たことないぞ…

上級生か…?いや、僕たちと同じ色のネクタイをしていた…


僕が通う学校は学年によって色が違う。


それじゃああの子は一体…


そんなことを深く考えていると、


「ハクくん?どうしたの?そんな暗い顔して

悩み事があるならいつでも私に相談して…なんなら殴ってもいい…よ?」


「大丈夫だよ、少し考え事してただけだ。」


「そう、ならいいんだけど…」

先輩は少しシュンとしていた。


「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう。家に帰ったらご褒美をあげるからね」


「やったぁ!」

犬のようにはしゃぐ。


そんなこんなで学校に着いた。


HRが始まると共にチャイムが鳴る。

先生と一緒に入ってきた。女の子…

今朝の子だ。


「さぁ、みんな座って!」

先生が皆を座らせる。

「じゃ!まずは自己紹介してもらおうかしら」


女の子は口を開き、静かな物言いで喋りだす。

透見とおみ 桜華おうかです。諸事情により編入することになりました。よろしくお願いします。」


バンッ!


僕は名前を聞き、驚きのあまり立ち上がった。


「あ、」


冷静になり、僕は席に着く。

何故だ。何故彼女が……


そんな僕を気にせず先生が、

「そうだな、ハクの隣が空いてるな。桜華!あそこの席に座れ」


「はい」

桜華は淡白な返事を返す。


正直僕は彼女を知っている。

だからこそ彼女の名前を聞いて驚いたのだ。


桜華は、白く雪のような肌に、「美」という字が似合う。そんな女の子だ。


そんな美少女を皆ほおっておくはずがない。

休み時間にはクラス全員に囲まれて居たのではないのだろうか。


僕は放課後、誰もいない空き教室へと彼女を

呼び出した。


「何故…君は…」


「久しぶりね、ハク」

僕のことを覚えているのを聞いて確信した。


「君は死んだはずじゃ…」


2人の間に少しの沈黙が流れる。


そうだ。彼女は死んだはずだった。

何故だ、何故、生きているんだ。


かなり昔の事だ。僕でさえ忘れかけていた。


僕たち3人は仲が良かった。いつも遊んでいた。

家も近く、このままずっと一緒だと思ってた。


だが、そんなことは無かった。


彼女は僕とチカ2人の前でトラックに引かれ、

即死だったはずなのだ。


そのはずなのに、今、目の前にいるのは

正真正銘、桜華だ。


もう何がなにか分からない。


僕が困惑しているなか桜華が喋りだした。

「私は…」



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