イエローの秘密
「あれ? レッドどこか行った?」
いつもなら夕飯の支度をしているはずのレッドがいないのに気付き、ブラウンが訊ねる。
「ああ、レッドなら、今日はイエローのイベントに顔出すって言ってましたよ?」
「あ、そっか、今日か」
ここのとこ、イエローが姿を見せないのはイベント準備のため、と言っていたのを思い出す。
「マメよね、レッドって」
「出ていくとき、『オカメ最中、オカメ最中』ってぶつぶつ言ってましたねぇ、そういえば」
「は? 何言ってるんだろね?」
*****
「オカメ最中…どうしよう。荷物になっちゃうからやめた方がいいのかな……う~ん」
真面目かっ。
てなわけで結局手土産は持たず、現地に向かう。
会場はすごい熱気だった。
「うわ、こんなに人がいるんだ。すごいな」
ブースの場所は聞いていたので迷わず向かう。が、人の多さにすんなりとはいかない。
「確か、知り合いの娘さんと一緒にやってるって言ってたよな?」
ブースが近付く。
「…あれ?」
番号を見る。
合っている。
しかし、おかしい。
そのブースには、おかしな赤かぶの帽子をかぶった男と、ウサギの耳がついた帽子をかぶったまだ幼い女の子。
レッドは動揺した。
イエローはどこに行ったんだ?
え? もしかして、イエローの彼氏とか…旦那さんとか!?
オカメンジャーであることを、彼が知っているのかもわからない。容易に声を掛けておかしな誤解をさせてしまうのも…、
などと、一瞬で頭の中がぐるぐるする。
と、
「あ、レッド~!」
赤かぶ帽の男がレッドを呼ぶ。
「へ?」
思わずおかしな声が出るレッド。
「あ、はい。あのぉ…、」
レッドがきょどっていると、そんなレッドを見たイエローが今度はハッとした顔をする。
「あ、ああ、やっぱり、あ~」
わたわたと慌て始めるイエロー。
「え? なに? どゆことっ?」
慌てている赤かぶを見て慌てるレッド。
「俺、イエロー! やぁ!」
開き直ったかのように片手を上げるイエロー。レッドが首を傾げる。
「ちょっと待って……イエローなの?」
冷静に質問を投げかける。
頷く、赤かぶ帽子。
「……イエロー?」
「そうっすよ?」
「なんで?」
「なんで、って」
「なんで!? なんでなんで? ええ? この前まで女子じゃなかった??」
「それなんですけどねぇ」
イエローが声のトーンを落とし、話し始める。
「そもそも、自分、偽ってたつもりはないんですよねぇ。みんなが勝手に思い込んでただけっていうか」
「いや、だって…、」
ついこの前まで、
『ちょっと強気な下ネタもいけるお姉さんキャラ』
だったのだ。
「ほら、この世界(オカメンジャー)って結局は紙の上ならぬ、電波の中なわけでしょ? 作者も含め、みんなが勝手に女性だと思って変換してるだけで、現実は別ですって」
なんだかキャラまで変わってしまったイエローに、レッドが深く頷く。
「確かに。俺だってみんなにおパンツだのなんだの言われてるけど、本当はめっちゃ渋いイケオジ説…、」
「そんなこと信じないぞっ!」
レッドの言葉を遮って、ブラック。
「いつの間に!?」
「イエローが赤かぶでレッドがイケオジ? そんなの…そんなの…面白すぎるじゃないかぁぁぁ!!」
なぜか叫んでいる。
「お話より面白くなるのはやめてよねっ! 私にだって立場ってもんが、」
「あ、レッド、ブラックなんですけどね、どんなだったかっていうと…」
「その口を閉じやがれぇぇぇぇ!」
パコーン、とイエローの頭を叩くブラック。
「印象同じなんだよな、ここは…」
イエローが頭を撫でながら呟いた。
「とにかくっ、なんだかいろんなことがあったけどイエローは男子だった!! 今日はそれでいいじゃないかっ」
適当に纏める。
「ちなみにレッドの印象はブルーっぽかったってイエローが言ってたんで、結局のとこレッドはおぱんつorふんどしっていうことなんだからねぇ!」
「ええええ」
「あ、そういう意味では…、」
レッドとイエローが同時に言う。
*****
「ただいまぁ」
オカメンジャー秘密基地。
イエローが男子だった話は、基地内に大きな衝撃をもたらした。
しかし、皆
『そんならそれで』
というテキトー脳の持ち主である。
騒ぎは一瞬で終わったのであった。
イエローの今後。
イエローのキャラ設定。
作者はどうしていこうか悩み中なのであった……。
追記
Pusugaさん文フリお疲れ様でした。
マジで、勝手に女子だと思ってた!! さーせん!(∀`*ゞ)エヘヘ
赤かぶ帽もらってくれてありがとうございましたw
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