2023年5月12日(金) 夜に歌う鳥

 金曜日。

 戦士たちにブーストがかかる。

 何故なら土曜日と日曜日がやってくるからだ。

 もちろん、土日も戦う戦士たちもいる。しかし、大半の戦士たちは休息する。モンスターたちもその活動を鈍化させるので、比較的平和な日がやってくる。


 ちなみに金曜日は愛と美と豊穣の女神フレイア の日でもある。女神の加護を受け、戦士たちは後先を考えずにモンスターたちをばったばったとなぎ倒す。

 戦いを終えた戦士たちは、酒場へと繰り出す。宴の始まりだ。


 ──


 ふと。

 鳥のさえずりが聞こえてきた。聞いたことのない鳴き声だった。


「あれは、ナイチンゲールですね」

 黒衣のガイコツがカタカタという。

 サヨナキドリ。西洋の鶯。何故、日本に?


「今日はナイチンゲールの誕生日だからですよ」

 いや、ナイチンゲールといってもあの鳥の誕生日ではないだろうに。


「まぁまぁ、この世界は不可思議。何が起きてもそれが幻想げんじつです。受け入れればいいだけのこと」

 よくわからん。


 しかし、何だか心が鎮まる。戦い疲れた心が、癒されていくような、そんな気がする。


 目を閉じると、森の中にいるようだった。



 耳を澄ます。

 


 もう……ナイチンゲールのさえずりは、聞こえなかった。

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