虹色の雨
その雨は 最期まで
虹の色をしておりました
分厚い雲の胎内に生まれ
硬い地の上に叩きつけられ
そして 透明に砕け散る
ただそれだけの
本当に ただそれだけの
孤独な運命なのに
その雨は どこまでも
虹の色をしておりました
きっと 知っていたからです
地を潤すことの意味を
きっと 知っていたからです
恵みとなることの喜びを
上を向いた私の
少し
単純な
涙になった夢の群れ……
ああ そのとき
慈愛に濡れて柔らかい雨の
……ああ
なんと優しく なんと朗らかに!
(哀しみの辿った
もう一回り大きな哀しみで
そっと 拭い去るように ───)
その雨は
虹の色をしておりました
その雨は いつまでも
虹の色をしておりました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます