日記

空に 月が実りました

太陽のほっぺたをした

うちのお父さまにたずねたところ

月は いつも

宇宙という 大きなお母さまに

抱っこされているのだそうです

ぼくには お母さまがいないので

とてもかなしくなったのですが

 おまえのお母さんは お空にいるんだよ

 宇宙のお母さまと お友だちなんだよ

 だから 泣くんじゃない

と 太陽のほっぺたをうごかしながら

お父さまが力づよくおっしゃったので

ぼくは いつのまにか

じぶんが月光仮面になったようで

空に実った 光のおせんべいを食べながら

なんだか きゅうに元気になったのでした


  昭和三十三年 四月廿三にじゅうさん日(雨のち虹)

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