第2話 魔王の子
ズキズキと脈を打つ頭痛が襲う。
体を強張らせ、必死に耐える。
耐えていると、痛みは幾分かマシになっていった。
深呼吸と共に、現在置かれている状況を理解する為に働く。
じめじめとした気配を肌で感じ、鼻孔で焦げ臭さを感じる。
痛みを触発させないように、恐る恐る
すると、そこはどうも洞窟のようであった。
唯一の光源である
「ポツ...ポツ,,,」
と岩から水が染み出ている。
それを視認すると、酷く喉が渇いた。
だが、体に力が入らない。
「誰.か..いな...いか」
(待つしかない...)
時折襲ってくる頭痛と苦闘しながら、小1時間程度待つと、少年が肉になった兎と兎の皮を持って洞窟にやってきた。
装備を見ると、小刀と小弓。
僕は、首を揺れ動かした。
結果、功を奏し、少年はこちらに走り寄ってきた。
傍に駆け寄り一声。
「ミシェル様。我ら魔王軍の生き残りのリーダーとなって、魔王国を再興してください。」
唐突な申し出であった。
この少年から話を聞き、理解したことを
・勇者軍から逃げ延びた彼等は、山間部にある洞窟に逃げ込んだということ。
・
・反乱はこの混乱に乗じ、行いたいということ。
・現在この洞窟で
・他に生き残りはいるが、所在不明であるということ。
・僕を救ってくれたのは偶然であったということ。
・少年の名が「フォールティア」であるということ。
私は、フォールティアが狩ってきた兎を貪り食らった。
多幸感が私を抱擁する。
だが、少々でも心に余裕が生じると、彼等の
(事は一刻を争う、猶予は程なしか。)
私は彼等に救われ、意識を取り戻した。
気絶していたにも
これから親交を深める必要性があるが、仲間もいる。
これは余りにも「出来すぎて」しまっているのではないか。
私は父の無念を想った。
勇者に敗北した自己と安寧秩序が崩壊した国と国民の最後を。
同時に、父の
父は「魔王」として「勇者」に殺されるべくして、殺されたのではないか。
言わば、「予定調和」のように。
では、「魔王の子」である私は?
幸か不幸か、既に退路は断たれてしまっている。
では、泥沼であろうと何であろうと歩む他ない。
私は「生きる」ことにした。
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