孫策、弟たちに手紙を送る
呉王である兄と連絡が取れなくて困っている者が2人いた。
1人は、会稽の統治を任されている孫匡。
もう1人は、丹陽の統治を任されていた
2人とも政治家としての側面が強く、郡の統治を任されていた。
そんな2人の元に孫策を名乗る男からの手紙が届けられる。
孫匡「最近の孫翊兄上は、何処かおかしい。こちらからお伺いを立てても返事が遅れて返ってくる。こんなことは、今まで無かった。それに首都である呉にすら容易に近づけなくなった。兵士たちがまるで僕を認識していないのだ。明らかに異常事態だ。そこにきて、孫策兄上を騙る手紙と来た。明らかに罠の匂いがするこの手紙を開けて良いものか?」
???「旦那様、何かお悩みでしょうか?」
孫匡「うわぁーーーー。脅かさないでよ
愛彩と呼ばれる女性は、曹仁の娘であり、政略結婚で嫁がされたのだが仲が良かった。
曹愛彩「これは、失礼致しました」
曹愛彩は、孫匡の隣に座ると孫匡の肩に首を傾ける。
孫匡「ど、どうしたの?」
曹愛彩「旦那様に甘えたくなりました」
孫匡「それはまた急だね」
曹愛彩「何でも1人で抱えていると頭が破裂してしまいますよ?」
孫匡「何?それは、私に話してご覧なさいって言ってるの?」
曹愛彩「えっ?話したく無いんですか?」
孫匡「君は本当に強いね。まだ8歳の弟が曹丕の人質に取られてるのに、僕の心配なんかして」
曹愛彩「泰ちゃんなら大丈夫です。昔の父上に似て、辛抱強いですから。あっ、今の父上は嫌いですよ。泰ちゃんを人質に取るような下衆になってしまった曹丕様にお仕えしてるんですから」
孫匡「憎いのに様は付けるんだね?」
曹愛彩「一応、あんなのでも魏王なんて肩書についてますからね。民にお優しい劉備様と全然違います」
孫匡「愛彩は、劉備殿について熱く語るね」
曹愛彩「劉備様はね。当時、勢い増し増しでイケイケだった曹操様を相手に、領民の虐殺を食い止めた英雄なんです。カッコいい。あれこそ、当主の鏡です。それに引き換え、曹操様ときたら、いくらお父上を徐州で亡くされたとはいえ、悪いのは徐州の民ではありません!父上も父上です。全く」
孫匡「それって結局昔の義父殿も嫌いなのでは?」
曹愛彩「そうですわね。クスクス。でも、父上の気持ちはわかりますの。今も昔も誰かを守るために戦っている。例え、それが間違えていたとしても。所詮、立つ側によって、見方は変わるんですから。私は、劉備様を推しているだけです!」
孫匡「ふふっ。あーあ、愛彩を見てると馬鹿らしくなってくるよ。これが罠だって良いや。孫策兄上からの手紙を読むけど、どうするべきか判断を仰いでも良いかな?」
曹愛彩「私でお役に立てるのなら」
孫匡は目を通して、口に出して読みながら唖然となる。
曹愛彩「旦那様、すぐに兵をおまとめになさいませ」
孫匡「でも、これを信じて良いか」
曹愛彩「ここに書かれていることが本当なら、呉郡の民が可哀想です。お助けなさいませ。私のことは、大丈夫です。この子と旦那様のお帰りをお待ちしていますから」
お腹をさすりながら曹愛彩が言う。
孫匡「えっ?えええええ!?!?!?何で、何で、もっと早く言ってくれないんだよ」
曹愛彩「クスクス。旦那様の驚く顔が見たかったので」
舌をペロリと出しながら小悪魔な笑みを浮かべる曹愛彩。
孫匡「全く、君って人は。必ず。孫翊兄上も民も助けるよ。この子に誓って」
孫匡は曹愛彩のお腹にそっと口付けをする。
曹愛彩「旦那様、アハハ。くすぐったいです」
孫匡「驚かされたお返しだよ」
曹愛彩「そんなに喜んでくれると嬉しいです。どうかご武運を」
孫匡「ありがとう。行ってくるよ」
一方、丹陽を治める孫朗は。
孫朗「孫翊兄さんは、どうしたのだろう。最近、手紙を出しても文字が孫翊兄上らしく無い気がする。呉郡への立ち入りも禁じられているし、行こうとしたら兵がこちらを認識していないかのように攻撃してきた。どう考えても普通じゃない。こんな時、周瑜義兄さんや張昭殿・張紘殿が居てくれれば、相談もできるんだけど。行方不明の孫策兄さんからの手紙?罠だよなこれは。まぁ、読むだけよむか。!?まさか、孫策兄さん、本人なのか?でも、そうとしか。同じ呉の人間で戦うことになるのか。でも、孫翊兄さんを救う方法がこれしか無いって言うなら俺は喜んで孫策兄さんに協力させてもらうよ」
孫朗は、手紙をしたためると協力してくれる場合は返事をと書かれていた場所に向かう。
孫策「2人とも久しいな」
孫匡「本当に孫策兄上だ。よくぞご無事で」
孫朗「孫策兄さん。あの手紙の内容は本当なの?」
孫策「順を追って説明する。えーっと何だっけ?あのアレだ」
周瑜「伯符、それでどう伝わるのだ?全く、2人とも于吉という呪術師のことは知っているか?」
孫匡「孫策兄上が倒された?」
周瑜「正確には、左慈方士が倒してくださったのだ。その于吉が使っていた呪術を使う人間がまた現れたと思ってくれれば良い。その力によって、孫翊は操られていると」
孫朗「成程」
孫策「お前ら、あんまり驚いてねぇよな?」
孫匡「孫翊兄上がおかしいことには気付いていましたから。寧ろ合点が行きました。我ら、喜んで孫策兄上の力となります」
孫策「おっおぅ。一緒に翊を助けようぜ」
こうして、孫策は孫匡と孫朗という心強い弟たちを味方につけ、着々と準備を進めていたのであった。
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