義賢、董白に全てを打ち明ける
呂布・田豊・沮授・馬超らの協力を取り付けた義賢は、最愛の妻であり大切な人である董白に全てを打ち明けるため邸宅へと戻ってきた。
董白「お帰り、最近疲れてそうだから。軽いのにしてあげたわ。とっとと食べなさい」
董白が夕食に用意したのは、義賢にとって馴染み深い『おかゆ』というものだ。
義賢「これは、どうやって?」
董白「ご飯を水で沸騰させて柔らかくしただけよ」
義賢は、懐かしい味と染み渡る優しさに涙が溢れ出た。
董白「ど、どうしたのよ?涙が出るほど不味かった?」
義賢「いや、優しくて良い味だ。董白、気遣ってくれてありがとうな」
董白「素直にお礼を言うなんて、ど、ど、どうしたのよ?」
義賢「いや、俺は董白みたいにツンデレではないぞ」
董白「何よツンデレって!」
義賢「言葉で悪態ついてても心は、ポカポカしている人のことだよ」
董白「な、何でわかるの!?」
義賢「もう何年一緒にいると思っているんだ。俺の妻になってくれてありがとうな」
董白「な、な、な、何言ってるのよ。その言い方はお別れするみたいじゃない。これからも宜しくでしょ」
義賢「そうだ、な。いや、違う、な。董白、俺はこの世界よりずっと先の世界の人間なんだ。所謂、未来人って奴だ」
董白「この世界の人間じゃないって聞いて、薄々知ってたわ。今更、そんな当たり前のこと言って、どうしたのよ?」
義賢「えっ知ってたのか!?」
董白「知らない料理の数々。知らない言葉の数々。子供への教育方法。どれもこれも今までの常識を覆すものだったじゃない。あっこの人はずっと後の世界の人なんだな。違うんだなって思うのが普通じゃない?」
義賢「董白以外は皆驚いてくれたんだけどな。兄上、呂布殿、田豊殿に沮授殿、馬超殿と」
董白「私が1番じゃないんかーい!」
董白による鋭いツッコミ!?に不思議と笑っていた。
義賢「フフッ」
董白「何、笑ってんのよ。私、凄く傷つきました。だから、抱きしめてよ」
義賢「今日の董白は、やけに積極的で素直だな」
董白「本心は隠してるつもりだったのにバレてるならもう良いかなって、私実は甘えたがりなんだから」
義賢「知ってる。爺様とのやり取りを見た時に、だから俺としては、精一杯甘えさせてるつもりだったんだけどな」
董白「まぁ、そうね。貴方と出会えて、貴方の妻となれて、幸せな人生なのは認めるわ。だからといって、先に逝くなんて許さないけど」
義賢「治らない病なんだ。後、何年生きられるかわからない。でも命の続く限り、君との時間も兄上の天下統一への道もどちらも大事なんだ。だから療養することはできない」
董白「貴方に療養しろなんて言うと思ってるの?精一杯、私を愛して、劉備義兄様の天下統一へ尽力しなさい。私も側で、貴方の最後の時までサポートしてあげるから」
義賢「サポートだなんて、すっかり教えた言葉をマスターしちゃってからに」
董白「貴方は一言多いのよ。そこは、ありがとうだけで良いでしょ!」
義賢「董白、愛してる」
董白「ば、ば、ば、馬鹿!私の方がもっとずっと貴方に会った日から愛してる」
義賢「やっぱり今日の董白は素直だ」
董白「何よ?せっかく言ってあげたのに。って、反応するな!」
義賢「うーん。死期が近いからかな。董白が寂しくないように赤ちゃんを作りたいみたいだ」
董白「馬鹿!そこは、私としたいで良いじゃない」
義賢「えー、ロマンチックだっただろ?」
董白「どこがよ!露骨すぎて、笑っちゃったわ」
義賢「今日は、2人で1日くっついたまま、たくさんお話ししようか」
董白「話したいなら好きにすれば」
義賢「出た、ツンデレ!」
董白「そういうこと言うなら。先に寝るわよ」
義賢「フフッ。幸せだ。ここに来た時は、目の前に憧れていた劉玄徳がいて、興奮のあまりそこが嬉しさのピークだと思っていた。でも、君と出会って、君と過ごしたどれもが愛おしい。間違いなく今、この時が幸せのピークだと言えるぐらいにね」
董白「あっそ。私は、劉白や牝愛を産んだ時が幸せのピークよ。義賢は、オマケかな」
義賢「辛辣だな。ほら」
義賢は、董白の目から溢れる涙を拭ってやる。
董白「何よ。どうして、置いていくのよ。どうして、病に。貴方は何も悪いこと」
義賢「いや、いっぱい悪いことはしてきたさ。戦場で多くの人を殺した。遠い未来の世界ではね。人が人を殺すと殺人罪って言ってね法的裁きを受けて、投獄される。良くて5年以上、悪かったら死刑かずっと牢屋の中。この世界だから許されるでは、ダメなんだよ。もっと人を殺さずに済む方法だってあったはず。でも、俺はそれを選ばなかった。それだけでも十分罪深いんだ。率いた兵もたくさん死なせちゃったしな。これを未来の世界に当てると俺は大量殺人者だよ」
董白「そうだとしても。貴方が悪いわけでは、無いわ。この世界から争いを無くすために戦うことは悪いことではないもの」
義賢「そうかもしれないね。だから俺は今以上に戦争を加速させようと思っているよ。兄上による天下統一。その先の未来が明るいと信じてね。そのために俺は今以上に人を殺すことになるだろう。殺された側の怨念は、幾許か俺にもわからない。でも、それを全て背負う覚悟はできた」
董白「そう。黝廉を亡くして、一年以上塞ぎ込んでた泣き虫が成長したじゃない」
義賢「それは言うなよ。あの時はホントごめん。董白の気持ちも考えずに愛想尽かして出ていくのも当然だよな」
董白「だから出て行ったんじゃなくて、牝愛のために里帰りしただけなんだけど。まぁ、もう良いわ。どれもこれも2人の大事な思い出だもの。で、その大きくなったものはいつ入れてくれるのかしら?」
義賢「そこは素直に『我慢できなくなってきちゃったそろそろ義賢のそれ欲しいんだけど』って可愛く言って欲しかったな」
董白「馬鹿!しないなら先に寝るから」
義賢「嘘嘘。董白様、僕の昂りを鎮めてください」
董白「宜しい」
2人は一日中繋がりあったまま抱きついて、夜を明かすのだった。
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