第6話 Rich Tongus Girl (多くの舌を持つ女)編

Rich Tongus Girl (多くの舌を持つ女)


第四話



本日のサブタイトル


「響かせろ! 発覚 のち 望み ①」


(第一部最終章開始)


――――――――――――――――――――――――


ライブまで9日



先の戦闘から1日と少し とりあえずマニュルを事務所に連れてきたところ付き人を連れて自室に閉じこもり出てこず、帰ってきたユウが「まぁ、あの感じやったからなぁ そっとしておけ」 と言ったので皆荷物を部屋のドアの前に置いたり食事(以外にしっかりと完食していた)を持って行ったりしたぐらいで放っておいた



そしてライブまで8日の朝、セナは起きたばかりで尻尾をブラッシングし、ユウは他所行きのスーツを着崩してソファーで2人会話している


「ああは言っても、やはりただの有名人だったんですかね?」



と、依頼に来た時の物言いを思い出しながら やはりただ自惚れた有名人気質なだけの現実の見えていない戯言だったのだろう。とセナが思いながら言う

確かに普通ならそう思うだろうが、セナはそれなりに所長の能力は信頼しており、依頼を受ける判断にも賛成していた にもかかわらずこう言ってしまえば所長のマニュルへの判断を全て蔑ろにすることに気づいていない、、、


しかしユウとしては一切気にせず返す



「いや、違うな アイツが怖がっとんのは…」 ガチャっ


と言い終わる前にマニュルと付き人が入室する



「あっ おはようございます 昨日はお楽しみ、いやしっかりと休めましたか?」



「、、、なんかもう1日ぐらい休みたくなってきたわ」



「えっ!…もう、無理です、、、」



「そんな時はフェーダを頼れば良い薬でも見繕ってもらえますよ? というかフェーダに相手してもらえば…うげっ!」


シューー…(セナがユウをゲンコツし拳から煙が上がる)



「フェーダは誰かさんの壊したトレーラーの整備で疲れてるんです!」


(いやツッコむとこそこかぁ…やけどどうせフェーダの事やし、マニュルを泊まらせたあの部屋って、、、)



一方フェーダは


「ふぅ、 盗撮風(れっきとした盗撮)天井視点、良かった 、、、1日ヤッてた マニュル、良い  もう寝よ」



場面は戻り



「まっ 飯でもつくりますかね  何食べたいです? 思いつかないなら事務所の隣に食堂もありますが、あっ あの食堂なら 安全面は大丈夫ですよ」



「いえ ここでいただくわ メニューは、特に指定はないわよ?」



「最後、疑問形できて、俺のセンス測ってんですか? それも踏まえていいの作りますよ。  ガルドが」



「…あなたじゃ、なかったのね」


「んっ? あぁ ここ、まだ電気ついてないでしょう? 何分かうるさなるけど我慢してくださいね」



ガチャッ  ドアを開けユウが出ていく



(外からの送電、受けてないのかしら?)

 


と考えているとセナが察して答える



「うちは電力は独立してまして まぁ、こんな仕事なんでできるものは全て握っておきたいんですよ 下のジェネレーターでバッテリーに充電して使ってるんです  充電はちょうど1日分貯まるので毎朝所員の目覚ましになってます、、、そろそろですね」


「あっ、ちょっと揺れますが気にしないでくださいね  ガルドが起きてきてから朝ごはんまですこし時間があるのでテレビでもつけますか?」



「えぇ そうするわ」



と話していると足元から少し揺れがくる カタカタカタカタ



(なんだ、このぐらいの揺れなら)



と考えていると



ズドドドドドドド!!! キュィィィィ シャンシャンシャンシャン キーッキュキュッ キーッキュキュッ コココココココココ!!!!



「!!!なっ なんですか!これ!?」


と付き人が騒ぐが 「チャンネルは好きに変えてもらっていいので」  とセナがテーブルにリモコンを置き何事もないようにしている


マニュルも目の前の女性がこうしているのだからプロである自分が取り乱してはならない!と 


「え、ええ… わかったわ」 と、それでも少し狼狽えつつリモコンを受け取る



ゴゴゴゴゴゴゴ  キューーー しゅぅぅぅぅ シュッ シュッシュッ キンッ!


と音がおさまってすぐにドアが開く 


「発電完了っと  おっ、ガルドも起きたか 早速だが飯、頼んで良いか?」



「おお、何にしようかなって えっ!マニュル様もか!?  じゃあハム系にするか…」



「ええ それでいいわよ  ところで今の音が発電機?」



「そうですよぉ  良い音でしょう? ヘビーハイライン用ハイパーメタルジェネレーター  インナーカルティック二型です  デトネーションジェネレーターをライン用にレストアした最後のモデルですよ」



「ヘビーハイライン用、か、、、やっぱりここに決めて良かったわね?」(小声)



「…えぇ そのようで」(小声)



「何言ってる?」  とフェーダが横から言う



「いえ、気にしないでください…」



「ふぅん まっ、いっか  起きちゃったから飯食べたら寝る」



「…そう」



その後朝飯を済ませ、今後の予定について話す



ユウがハムエッグをずり落ちていきそうな半熟の卵をハムで囲い軽く啜るように頬張りつつ、サラダを取り皿に入れマシロからひったくったドレッシングをかけながら考える(さて、レッスンはどうするかなぁ 宿はここで良いが、、、しょうがないか)


そしてサラダを もおっキュッと頬張った後飲み込み、フォークをフリフリしながら言う


「で、マニュルさん  今考えたんですがね、正直レッスンとか本番への調整は今までの水準でやりたいですか?」


ビシッ! フォークをマニュルに向ける



「行儀、悪いですよ?」 とセナが言うが気にしない



「そうねぇ もうライブも近いし何かまたあれば嫌だから、、、」


と、それを聞き付き人も話す それに合わせてユウが付き人の方に ビシッとフォークを向ける


「ですね 以前のところは…無くなったので他ありませんかね?  スケジュール的には、後2日は入れたいですが どうなさいます?マニュル様 」


「私はいいわ それで   それより聞くのは彼らにでしょう?」


と言うながら美しい所作でハムにソースをかける しかし手元を見ていないのでそれは醤油である

かなりの量がかかっているはずだが、それを食べて全く動じない様子を見てユウが訝しむ だがソースでべちゃべちゃにしたハムを美味しそうに食べるセナを見て考えるのをやめた  きっと同じ味音痴なのだろうと

しかしここで本当に気にするべきはマニュルが手元を見ずに醤油をかけたことなのだが、ユウはまだ気づいていない



マニュルの言葉を聞きユウが答える


「モガモゴモゴ ゴクンッ  はい、でしたら…ええっと  セナ、この間集めたここらのスタジオのヤツ書いたファイル、どこ置いたっけか?」


と言われ コンソメスープ(マニュルの喉を気にして大根ましまし)を、もうスプーンですくうほど残っていないのでカップごと傾けて飲もうとしていた物を途中で止め、しかしやはり残しては冷めてしまうと全て飲みカップを置き、後ろのデスクを弄りながら言う



「あら? フェーダ タブレット持ってます?」



「はい」 スッ  タブレットを差し出す



それを見てユウが 「おっ、こっちにくれ」



と言うので縦回転で料理の置かれたテーブルの上を投げる



パシッ  ピッピッ トットットッ  ずずゥー  とタブレットを操作しつつスープを、こちらはスプーンを最初から使わずカップを傾け飲む



「行儀、悪いですよぉ」  とセナが言うが、言い方が緩く仕事的で仕方ないので容認しようという雰囲気が伝わるので軽く頷きつつも続ける



「ああ ありますね  他の所、少し距離がありますが まぁ、前の襲撃程度のことなら大丈夫ですね 警備とかは強化しとることですし 」



「ならそこにするわ  何時入れるかしら?」



「おっ、ちょうど2日入れますね 明日と、ライブ3日前ですね  良いですか?」



「ええ」



「連絡はこちらでしておきましょう  おっ、そうや」



「何でしょう?」 「飯、」 「はい?」 「いや、美味しいですか?」 「あ、あぁ そうですね 美味しいですよ」「ではそちらは?」 「ええ 美味しいですね」

「それはよかった。 ガルドもマシロもまだ割と緊張気味なんですよ  なんたって何時もとじゃぁ有名人の方向性がちっとお違うもんでしてね? 」 「あら? それなら、あなたなんかも緊張しても良いんじゃないの?」 「いえ、所長たるもの、っつうやつですよ そちらさんにも、わかるんじゃあないですかね」 「あぁ、納得ね  それもあるし、言えば示しがつかないということね」 「そういうことです 俺がこの調子の方がアイツらも緊張をほぐせるってもんです」 「で、それを私に言うのは 緊張が緩んできた時、それを多少容認して欲しい、ってところね?」 「はい、、、そういうのは、言わなくても良いんじゃないですか?」 「でも、言ってわいけないこともない。 ですよ」 「はっはっはっ  流石なもんですよ」



と、適当な会話をしているうちにセナもマシロも食べ終わったようなので「おっ?」 となり少し急ぎ気味に食べる



「あぁ マニュルさん達はゆっくりでも良いですよ」



と、昨日買ってきて新鮮なうちに仕込んだおいたトロダウンジャケットカブトガニモドキムシの、その独特な殻を脚を持ちクルリと回すようにはぎとり 先程の少し余ったサラダにマヨネーズを少し絡め甲羅の中に入れカブトガニモドキムシの肉とともに食べながら言う



「、、、そうさせてもらうわ けれど、それこそ言わなくても良いことよ? 焦ってしまうわ」



「確かに。  ンッフフフ(笑い声)」 



「あっ、そうそう  部屋の消臭や掃除がしたかったらフェーダかマシロに言ってください  1日ヤッてたんです キツイものがありますよ」


「ふぅ、、、それこそ、言わなくていいことですよ」



「ンッフフフ  それもそうですね」



次回へ続く

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