箱庭の国 ~つよすぎ公爵令嬢と不死王の真実~

かくぶつ

第一章 結界の世界

プロローグ

 むかしむかし、ある国に悪い王様がいました。


 悪い王様は力と恐怖、そして大陸中を移動できる転移門を使い世界を支配しています。


 人々はこの王様を恐れ、従うしかありませんでした。


 悪い王様の死期が近づくとますます乱暴になり、不老不死を求めるようになりました。


 人々はそんな悪い王様にうんざりし、従っていた若い王様たちが反乱を起こすようになりました。


 年老いた王は世界中の若い王たちと戦い、ついに一人だけになりました。


 そして彼は地下へと逃げたのです。


 そこには異世界につながっているという、決して開けてはいけない原始の転移門があります。


 後に引けなくなった悪い王はその門を開けてしまいます。



 なんと門は魔界とつながっていたのです!



 しかも世界中に設置していた転移門もすべて魔界とつながってしまいました。


 そして魔界の恐ろしい魔物たちが門を通り、地上が地獄と化したのです。


 魔物たちはすべての人を呑み込んでしまいます。


 逃げまどう人々を若い王様たちが導きました。


 強い王様は若者たちと最後まで戦いました。


 優しい王様は弱い人たちと寄り添いました。


 そして王に従わない臆病者たちは世界の果てまで逃げました――彼らがどうなったのか誰も知りません。


 強い王様と彼の兵たちが敗れると、後には弱者しか残りませんでした。


 弱い人たちは懸命に神様に祈りをささげます。


 すると一筋の光が人々を包みました。


 地上の悲劇を悲しんだ神様が彼らを祝福したのです。


 そして熱心に祈りをささげる人々に一人の聖女を遣わせました。


 優しい王様たちが見守る中、聖女が神に祈りを捧げます。



 すると!



 神の光により、魔物たちを退けたのです。


 この光の結界によって平和が訪れたのです。


 皆が聖女に感謝して、王様は聖女を妃にしました。


 神様は優しい王様と新しい王国を祝福します。


 人々は喜び、平和な結界の中で慎ましく暮らすことを決意します。


 その国は『箱庭の国』。


 私たちの住む小さくも平和な国です。



 ――――結界の詩

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