第7話 サンドイッチ
≪事件≫
マンションの一室で、住人の男性は出ることを許されず、やって来た数人の男性がにらみを効かせている。
数日後、発砲の音が響き渡り、警察が来たときには誰もいなくなり、部屋には血痕が残されていた。
≪事件数日後≫
「クロ!、聞いてです!」
カスミが憤慨している。
「見て、このサンドイッチ!、見える断面は凄い具沢山なんだけど、端までどころか、表面だけの見せかけです!」
カスミは買ってきたサンドイッチをみて、憤っている。
「これは凄い!パンだけの部分多いね。」
「クロ、笑ってないで。なんで、こんな商品があるのです?詐欺です!」
憤慨が止まらない。
「そうだね。わかる。中も同じくらい入ってるって思っちゃうよね。謎解きだけど、中身が均等じゃないのもお客さんに来てほしいと思う人によっては有りなんよね。」
カスミが何それ?って顔になってるので話を続ける。
「門戸を開くか、閉じるかってことなんだけど。例えば、店頭に売出し商品を置くスーパーは新しいお客さんに来てほしいって思いもあるし、入口の表示が少なかったり、隠しメニューがあったり、バーとかでは常連さんに安心して何度も来てほしいって思いもあるよね。
どんなお客さんに来てほしいって思ってるかで、お得を置く場所の位置が変わるから、表面が得に見えるのがダメってわけじゃないんだけどね。」
「なるほどです。新しい人に買ってもらう事にかなり偏ったサンドイッチです!二度と買わない!!」
「たしかに偏ってるね。カスミはピクルス嫌いだったよね。具が見えると苦手を避けられて安心だよね。ただ、このサンドイッチはやり過ぎだね。」
「あっ、ちょっとだけ納得したです。あと、クロがいつも行くバーは初めての人は行きにくいです。」
「あそこ、入りにくいよね。新しい人を呼ぶ気なさそうだしね。」
ここはクロの探偵事務所。珍しく事務所にいて、カスミはランチに買ってきたサンドイッチで機嫌を損ねているところだ。
「こんにちは」
お客さんだ。
「お待ちしていました。それでは案内してもらっていいですか?」
クロ達はこの近くで発生した奇妙な事件のことで案内をお願いしており、事務所で待っていた。
「この近くに弟が住んでいるのですが、行方がわからなくて…」
女性がクロに話をし始めた。
弟のマンションに案内してもらった。数日前に発砲があった場所だった。部屋には、血痕、銃痕があった。数人がいたと思われる部屋には指紋もなく誰もいない。また、何か丁寧に生活していた感じもあり、犯罪としては違和感があり、奇妙な感覚がある。
ゴミ箱にはコンビニ弁当の外装があった。表示の日付をみると数日分はあるようだった。カスミが憤慨していたサンドイッチの袋も複数種類が4〜5日分くらいあった。
『監禁?』
クロは住人が監禁されていたのか?何か理由が?と考えていたとき、カスミが一点を凝視していた。
「あのサンドイッチを連日食べているです!私なら買わないのに!」
カスミのサンドイッチ憤慨が再発してしまった。。。
マンションは3階建ての3階、ベランダからはサンドイッチ屋さんが見える。連休でもあり人通りは通常より多く、遠方からくる人もいてサンドイッチ屋さんには人が入っている。カスミには見せないようにしながら、事件の話を聞くことにした。
「マンションで発砲音があったって聞いて、心配になって弟に連絡とろうとしたのですが、連絡つかなくて…来てみたら、こんな状態で…」
涙ぐみ、隣人との間の壁を見つめる。
「このマンション、ネット販売の拠点になっている部屋もあって、弟が住み始めるときも心配してたんです。隣も数人が出入りしていて、なんか怖くて…
お隣も発砲の日からいないみたいで、何かあるって思っているんです。」
「それは怪しいです!」
カスミが、ようやくゴミ箱から視線を外してくれた。
「心配ですよね。きっと大丈夫ですよ。」
クロが涙ぐむ女性を勇気付け、カスミをみた。
「さっ、私たちの時間だ。カスミ、行くよ」
「OKです!」
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