未だに童貞な俺が、学園一の爆乳美少女と付き合うことになったわけ

譲羽唯月

第1話 これは夢なのか、はたまた現実なのだろうか⁉

 中村優斗なかむら/ゆうとは彼女が欲しかった。


 どうしても、彼女が欲しいという感情が、ひしひしと内面から湧き上がってくる。

 しかし、具体的に何をすればいいのかわからない。

 それが大きな課題である。

 だから、行動に移せてはいなかったのだ。


「高校二年生になったし。そろそろ、彼女の一人くらいできないとよくないよな……」


 辺りを見れば、普通に彼女ができていたりする。

 そう思うと、なぜ自分だけと悲しくなってくるものだ。


 どうにかしないと。


 今まで通りおちおちしていたら、確実に高校生活が一瞬で流れて終わり、彼女ができないまま卒業してしまうことになる。


 彼女を手に入れ、学生時代に経験したいことは沢山ある。

 だから、どうにかして彼女を作りたい。


 真剣に考えろ、俺。


 考え込んでいても何もわからないが、それでも、何かしらの案を生み出すためには思考を続けるしかない。


「んん……」


 いや、すぐには難しいか……。

 というか、他の人はどうやって作ってんだよ。


 優斗はそこまで友人が多い方じゃない。

 それこそが、他のやり方を見いだせない要因になっているのだろう。


 彼女を作る対策を見つけるなら、相談にのってくれる人がいた方がいい。


 でも、すぐに相談相手も作れるわけじゃないし。

 地道にやっていくしかないのだろう。


 彼女の他に、これからは相談相手も見つけないといけないのか。


 色々と大変である。




 いつまでも孤独で考えていてもどうしようもならないのであって、そろそろ、校舎内でも回って歩こうと思った。


 先ほど丁度よく昼食を食べ終えたのだ。


 気分転換程度に、校舎内を歩いて情報を集めたりするべきだろう。


 校舎裏にいる優斗は、その場に立ち上がる。


 まずは、初めの一歩からが大事なのだ。


 そう思いつつも、すでに高校二年生であり、第一歩とかそういう猶予はない。


 気合を入れることにした。


 実のところ、この学園には、美少女と呼ばれる子の割合が比較的多い。


 けど、一番重要なのは、その中で、どれだけ自分のことを好きになってくれる子がいるかということ。


 優斗は陰キャである。

 学校内どころか教室でも存在感の薄い存在であり、他の子から認識されていない可能性だってあり得るだろう。


 ハードルが高いな……。


 頭を抱えそうになってしまうが、これも勇気を出せずに、高校生活を送ってきた末路だろう。






「今日こそが絶対に」

「ああ、成功させるさ」

「マジかよ。俺も狙っていたのにさ。お前なんかに先を越されるのかよ」


 校舎内の廊下を歩いていると数人の声が聞こえてきた。

 その場所へと距離を詰めていくと、少しだけ人だかりができているのだ。


 なんだろ。


 そう思い、少しだけ、その場所へ赴き、覗いてみいる。


「付き合ってください」


 一人の男子生徒が周りに人がいる状況で、とある子に対し、勇気のある告白をしたのだ。


 それに対する返答とは――


「ごめんなさい。好きな人がいるから」

「え……そんな……」


 その男子生徒はショックな顔を浮かべていた。

 が、周りにいる仲間みたいな人らは、そううまくいかないって。と、励ましの言葉を投げかけていたのだ。


 その人だかりができているところで、男子生徒が告白した相手こそ。

 学園の中で、相当知名度のある黒髪ロングヘアな美少女――結城芽瑠ゆうき/めるだった。


 彼女は何といっても、爆乳なのだ。


 高校生徒は思えないほどの大きさを持ち、誰もその大きさを知る者はいないくらいだ。


 人当たりもよく、知人も多い子である。


 しかし、優斗とその子の接点はない。


 クラスも違い。

 学校の行事で一緒になることもなく。

 会話のやり取りもしたこともなかった。


 そもそも、そんな環境下で、彼女が優斗のことを意識しているとかはないだろう。


 自分には関係ない次元の話だと思い、溜息を吐き、その人だかりから離れようとする。




「ねえ、ちょっと待って」


 刹那、可愛らしい女の子の声が響く。


 一体、何事かと思う。


 優斗は一瞬体をビクつかせ、立ち止まる。


 現状的に自分に話しかけられたのだと、驚きながらも何となく察するのだ。


 背後を振り返ると、芽瑠の存在があった。

 さっきよりも真剣な表情で、優斗の方を見つめているのだ。


 え……俺⁉


 周りには人がいて、その人らが一斉に優斗の方をまじまじと見つめている。


 こんな状況で、公開告白なのか⁉


 意味が分からず、おどおどしていると。

 芽瑠は続けて――






「あ、あれは、なんだったんだ……」


 本当のことだったのか?


 自室のカーテンから光が差し込む朝。優斗はベッドの上で上体を起こす。


 色々な思いを、朝起きた直後から感じていた。


「いや、まさかな……」


 学園の中で、一番の爆乳の美少女と付き合えるなんて。

 そんな都合のいいことなんてない。


 やっぱり、あれは夢なんだと思う。


 先ほど寝ている時に見た、願望交じりの夢の中のなのだと。


「でも、凄く現実味のある空間だったよな」


 偽りの世界というわけではなく、現実の空気感だった。


 自分の中では嘘だと思いたいのだが、同時に現実であってほしいと思う。


 仮に、あの子から付き合うことになったら、周りの人からの敵対心が強く向けられることになる。


 そんな環境で学校生活とか、色々と絶望過ぎるだろう。


「そんなことより、早く学校に行く準備をするか」


 優斗は軽く頬を指で引っ張り、現実かどうかを確認する。その後、首を振って、気分が紅潮するような感情を抑えつつ、ベッドから降りる。

 そして、一階リビングに行き、食事を済ませると。その三〇分後に優斗は鍵をかけ、自宅を後にした。




 いつも通りの環境と空気感。

 さほど変わりのない日常だと思う。


 あれは夢なのだ。

 さすがに、平凡で地味で、陰キャな存在である優斗が、ある日突然、爆乳美少女と付き合うことになるなんてありえない。


「やっぱり、違うんだよ。というか、今日から、彼女を作るための相談相手を探さないとな」


 優斗は独り言を口にし、通学路を歩く。


 刹那、背後から誰かの声が聞こえる。


 どこかで聞いたことのある響き。

 愛らしい感じだった。

 夢の続きなのかと思ってしまうほど、本当に声が似ている。


 優斗が恐怖見たさに、恐る恐る振り返ってみると。


「ちょっと待って、優斗君」


 その視線の先には、美少女がいる。

 美少女というだけでもすごいのに。それに加えて爆乳なのだ。

 物凄く揺れているのが分かり、朝からまた色々と興奮してしまう。


 まさか⁉

 本当なのか⁉


 優斗の脳裏では処理が追い付いていなかった。


 あれは夢の世界での出来事ではなかったのか?


 夢は夢じゃない。


 あれは本当の出来事であり、優斗は本当に昨日学園で一番の爆乳な美少女彼女ができたのである。


 結城芽瑠は黒髪ロングな髪を靡かせながら優斗の隣にやってくると、もう一度挨拶してきたのだ。


 そして、芽瑠が少しでも動くだけで、彼女の豊満なその二つの膨らみが激しく、優斗の左腕に接触するのだった。

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