9 「……ねえ、レナルドには八年間浮いた話はなかったの?」
レナルドがいない数日間が始まった。
レナルドが持っていたシェノンと対の魔術具の腕輪は、彼が置いていった使い魔が持っている。大きな鷲の使い魔は、常に少し離れたところを飛んでいるかとまっている。首にかけられた腕輪は重くないのだろうか。
「これの片づけが毎回面倒なんだよね」
レナルドの不在を利用し、久しぶりに魔術城の個人研究室にやって来た。
扉には、紙が無造作に貼り付けられている。各所が手に追えなかったり、後回しにしている雑用だ。
八年の不在を経ると、扉の前は隙間なく埋まっている。中にはすでに解決されたものも混ざっているので、その仕分けから始まる。
「今回は落書き付きかぁ」
扉と壁にまではみ出して、「呪われた魔術師」とか「出ていけ」とか「おまえのせいで」とか書かれている。感情露わな言葉は、魔王復活の予兆が出てからだろうか。
暗い目でそれらを一通り見て、シェノンは落書きは魔術で消し、依頼書を扉から剝がしていく。
「こんにちは」
紙を剥がし終えたところで話しかけられた。
シェノンの研究室は、他の研究室とは離れた場所ある。周囲には他の研究室はなく、古びた物置ばかりだ。誰かの部屋と間違えたという事態はまず起こらない……ということは。
「どうも?」
振り向くと、魔術師の制服に白衣を着た見知らぬ男が立っていた。癖っ気が跳ねた明るい茶色の髪と目。年齢は二十そこそこか。
男は周囲を見渡して、間違いないと確信を得た様子で、シェノンに再度向き直った。
「初めまして、ディラン・ウィンスターです。レナルド先輩に言われて魔術具を持ってきました」
ディランは、これほど溌溂とした笑顔は中々お目にかかれないというくらい微笑んだ。
状況が全く読めなかったところで、事情を知るらしい第一騎士団副団長キースがやってきて、シェノンは二人を研究室内に通した。
八年間閉ざされていた室内に風を通し、回収した紙を引き出しに押し込みつつ、シェノンは顔を知っているキースの方に説明を求めた。
レナルドよりもむしろこちらの方が表情が変わらないキースは、少し考えた様子を見せてから口を開いた。
「レナルドが用意した腕輪があると思うのですが」
レナルドと魔術学院の同期だというキースは、騎士団にいないときは時折レナルドのことを団長ではなく、名前で呼ぶ。どうも友人らしい。あのレナルドに友人とは喜ばしいことだ。
それはそうと、シェノンは「これね」と昨日ヒビが入って、機能に影響が出始めている魔術具を示した。
「それは元々レナルドが即席で用意したものなのです」
「即席で」
「はい。ある日仕事を終えたのに騎士団の執務室に戻ってきたと思えば、レナルドは意識のないシェノンさんを抱えていました。レナルドは騎士団の備品から『それ』を取り出し、いくつか追加で魔術を付与してあなたにつけました」
「キース、私の誘拐現場目撃してたの」
目覚めた日、レナルドと再会して魔術で意識を奪われ、次に目覚めたときにはレインズ邸で、手首にはこの腕輪があった。
やはり正真正銘連行中の罪人につけるものだったか。騎士団長だからって備品をくすねるなよ。本当に大貴族の令息とは思えない。
それとは別に、騎士団長室でキースと初めましてをする前に一方的に面識があったことに驚いていると、キースは気まずげに濃緑色の目を逸らした。
「……その後、レナルドがディランに依頼したものが『これ』になります」
明らかに話も逸らしたキースの言葉にタイミングを合わせ、ディランが正方形の箱をぱかっと開けて中身が明らかになる。
中に入っていたのは、細身の腕輪だった。
銀色の腕輪に小さな青い宝石が星のように散りばめられた、アクセサリーにしか見えないものだった。
一瞬シェノンも騙されかけたが、銀色の腕輪本体を作る材質が魔術具によく使われる金属であることと、腕輪の裏に肌に当たらないように埋め込まれた石が品質の高い魔術石だと見抜く。
間違いなく魔術具だ。
「確かに『これ』の代わりね」
「えっそれ罪人用の腕輪じゃないですか。まさかの罪人の方ですか?」
「私が罪を犯してたら、ここにはいないよ、ディラン君。挨拶が遅れました。初めまして、シェノン・ウォレスです」
「──お噂はかねがね!」
世に流れている自分に関する噂などろくなものではないに違いないのに、ディランの様子が明るすぎて、シェノンは怪訝に思う。
「噂って、ろくなものじゃないでしょ。魔王の祝福関係なら……」
魔術師最下位なのに討伐ランクの高い任務に出かけて無傷なのは、魔王の祝福があって魔物を操っているからだとか。今であれば、魔王復活の予兆に関係しているだとか。魔王が復活するのはシェノンがいるからだとか。
そう思って聞くと、ディランはきょとんとして「ああ、そういえば魔王の祝福を受けている魔術師と同一人物でした」と奇妙なことを言った。
「シェノン・ウォレスさん。様々な魔術具の発明に関わり、研究分野においては古代魔術の解読、時や精神といった魔術研究の中でも最も難しい領域への貢献! あなたの知識によって進歩した魔術は数知れないと聞きます! 僕にとっては憧れの人ですよ!」
前のめりに語るディランのきらきらとした目を前に、シェノンは目を大きく瞬く。
憧れなどというものを向けられたのは人生で初めてで呆気にとられた。
しかしディランが口にした内容は、公にはその案件や研究を主となって進めていた者の功績となっている。
「ディラン君、それをどこで……」
ディラン・ウィンスターは若い。『賢者』でもなければ、その情報を知られるような地位に至るには早すぎるように思えた。
「どうぞディランと気軽に呼んでください! 僕の師匠、ゴーウェン・リーフォードなんです! ご存じですよね? 話は師匠に全て聞きました!」
ゴーウェン・リーフォード。魔術具士として名を馳せていた魔術師で、シェノンは彼と仕事をしたことがあり、それをきっかけにゴーウェンはシェノンの魔術服を専任で作成してくれていた。
「ディラン、ゴーウェンの弟子なの? ゴーウェンは元気?」
今回目覚めてから一度も会っていない。
まあ彼と会うのは魔術服や魔術具と仕事の場で、仕事の話ばかりだった。
それでもゴーウェンはシェノンに悪感情を持って接する人物ではなく、魔術のことをあれこれ話せるのはシェノンとしては楽しかった。
「師匠は、一昨年亡くなりました」
「──そう」
この場で初めてディランが表情を曇らせた。
シェノンは予想もしていなかった返答に、何とか一言返した。
八年経ったのだ。ゴーウェンもいい歳だった。見ていた顔が寝ている期間にいなくなっていたというのは初めての経験ではない。出会ったときに互いに若かった者でさえ、エトのように年老いているのだ。
「それまでいろいろと聞いていたのですが、まさか魔王の祝福を受けている人と知ったのは数年前ですよ。それによく知らない人が話している内容より、師匠が話した人柄を信じる方が弟子として道理でしょう?」
「いい弟子ね」
「でしょう。あ、仕事しますね。キース先輩に、レナルド先輩に報告されてしまうので」
そう言うと、ディランは制服のポケットから魔術石を取り出し、それをシェノンの腕輪にあてた。魔術石が光り、腕輪が外れる。同時に、鷹の使い魔からも外れる。
「……でも『これ』、本当にシェノンさんにつけるんですか?」
箱から新しい腕輪を取り出したところで、ディランは不安そうにシェノンを見上げた。
「え? だってディランはレナルドに言われて、それを私につけに来たんでしょ?」
「いえ、正確には僕、今日ここにいる人にこれをつけるように言われたのでまさかシェノンさんだとは思わなかったです。……元々依頼を受けたときから、装飾品を作っているんだか、でも機能的には拘束用魔術具を参考に渡されていたので、どういう目的なんだろうって混乱しながら作ってたんですよ」
「あー……話すとややこしいから、とりあえず仕事しておいたら?」
「……はい」
シェノンが腕を差し出すと、ディランは作業を始める。
魔術具の細かい作業によく使われる道具で腕輪の調整している作業を見ながら、シェノンはふと話しかける。
「先輩って呼んでるってことは、学院でのレナルドの後輩だったの?」
「はい、一学年下です」
「キースは同学年で、同じクラスで、同じ騎士科選択でって接点が分かるから納得なんだけど、ディランはどうやってレナルドと知り合ったの?」
この腕輪の依頼は、表向きにでも騎士団からのものにはできないはずだ。
レナルドの私的な依頼を頼まれると言うことは、それなりの付き合いが見て取れる。「先輩」という呼び方を学院卒業後にしていることからも。
「僕、学院で人工聖遺物が作れないかっていうのを研究してまして、そしたらちょうど一個上に聖王の祝福を受けたレナルド先輩がいたんです。頼まないわけにはいかないじゃないですか?」
聖遺物とは聖王ゆかりのものであったり、聖王の祝福を受けた者が遺したもので、特別な力が宿っている。それに触れるだけで魔物が消滅するとすら言われるものもある。
だが、ただ身に着けていたものでは特別な力は宿らず、愛用していた剣など所有者の特別なものであると推測されている。
死後に魂の欠片が宿ると言われるだけあり、そういった聖遺物は当然神聖視されていて……。
「……聖教会に嫌われそうな研究テーマね……」
「はい。実際学院からは強制停止させられたので、完全に私的な研究でした。先輩にも駄目元で話しかけたんですけど、『聖教会に消されそうなことしてるな』って面白がってちょっと協力してくれました」
「レナルド、聖教会好きじゃないからかな……」
だからって片棒を担ぐなよとレナルドに言いたい。聖教会と良好な関係を築く気がなさすぎる。
「僕からもシェノンさんに聞いていいですか?」
「どうぞ」
「シェノンさんは、レナルド先輩が待っていた人ですよね?」
お茶でも口にしていたら、むせていたかもしれない。
まさか、レナルドの後輩だという魔術師から出てくると思っていなかった話題に、ディランを凝視する。
腕輪を注視しているディランは気づかない。繊細な作業をしているのに淀みなくおしゃべりできているのは、さすがゴーウェンの弟子。慣れた腕だ。
「師匠から聞いていた方と、レナルド先輩の待ち人が同じ人だと知って今びっくりしてます」
ディランはのんきにそんなことを呟いている。
「……それは、レナルドから聞いたの?」
どこまでの人間が知っているのか、ちょっとぞっとしながらそっと聞いた。
「はい。先輩がずっと身に着けてるペンダントに写し絵が入っているのを見たことがあって。シェノンさんと先輩が写っている絵です。あれって、画家による絵じゃなくて魔術具による記憶絵ですよね。本物のように精巧でしたから。さすがは公爵家」
「ベルフェは家族大好きだから……」とか相槌を打ちながら、シェノンはわけが分かっていなかった。
確かにベルフェに巻き込まれて、レナルドと一緒に魔術具で写し絵を撮られたことがあるが、ペンダント?
「誰ですかって聞いたら『待ってる人』って言ってました。……そういえばそれ見たの先輩が謹慎くらってたときだったけど、あのときの謹慎の原因の事件の理由、あなたの悪口が理由だったっていうのが本当だったんだなぁ」
「謹慎って、私が理由ってなに」
さらに聞き捨てならない情報が耳に飛び込んできて、シェノンの頭からペンダント云々が吹きとんだ。
「ディラン」
そこで、ずっと黙っていたキースが注意した。
「うえ、何ですかキース先輩。僕、真面目に仕事してますよ!」
どうしてそんな風に呼ばれたのか分からないといった風に、ディランが一旦顔を上げる。
「余計なことを話して、レナルドに後から怒られても私は知らないからな」
「ええぇ」
レナルドの学院時代の話を、シェノンは知らない。
その期間丸々眠っていて、眠る前はレナルドは魔術学院編入前、起きたときにはとうに卒業して魔術師になっていた。
しかし、起きてから聞いた中で、疑問に思ったことがあったと思い起こされる。
エトが言ったのだ。「レナルド、騎士団での訓練以外で外傷内傷問わず怪我を負わせれば、学院時代のような罰では済まないぞ」と。
あのとき、シェノンは慣れた噂をされ、それを聞いたレナルドが怒った様子で危ないとさえ感じた。
エトが止めに入らず、シェノンもレナルドの様子に気づいていなければ、レナルドは魔術を使っていただろう。彼はあのときどの程度の、どんな魔術を使うつもりだっただろう?
「エトが言ってた話か……」
シェノンの呟きに、焦った様子のディランが反応する。
「第一位のエト様が言ってたっていうなら大丈夫ですよ!」
「うん、エトから聞いたことにするからその話詳しく聞きたいんだけど」
本当にエトに聞く手もあるが、学院時代実際にレナルドの側にいた人間から聞いた方がより正確だろう。
ディランはちらっとキースの顔を窺う。
「僕はその場にいたわけではなくて、後から聞いたんです。でも、キース先輩は一緒にいたんですよね?」
シェノンとディランの視線を受けたキースは、「……エト様に聞いたことにしてくださいね」とシェノンに念押しした上で、話してくれる。
「レナルドの教師をしていたのが魔王の祝福を受けた魔術師だと知った生徒が、レナルドの逆鱗にいくつも触れるようなことを言ったのです」
「例えば」
「具体的な文言はさすがに忘れましたが、あなたへの多くの侮辱、噂。レナルドはあなたから教えを受けるべきではなく、聖教会から派遣された教師につき、聖教会へ所属するべきだと」
その生徒の親は聖教会の神官だったそうだ。親の考えに影響を受けていたなら頷ける。それは神官そのものの言だ。
「レナルドは途中まで堪えていました。しかし、その生徒はそのときレナルドに最も言ってはならないことを言ったのだと思います。その生徒はこう言いました」
キースが一呼吸置き、続きを口にした口調は異なっていた。まるで、そのときの言葉をなぞっているかのように。
「『この一年、魔王の魔術師の姿が消えました。死んだのでしょう。あなたの側からあの災いの種が消えて、神官たちは安堵しています』」
シェノンは表情を変えなかった。
毎回起きると、まだ生きていたのかと言われるあたり、眠っている期間に死亡説が流れていることは察せる。シェノンの姿が再び現れ、落胆の声を聞いたことがある。ならば不在期間に死亡説が流れて喜ばれてさえいることも察せる。
「今でも覚えています。その瞬間レナルドの表情が変わり、言いました。『お前が何を知っている。近くにいた俺さえ知らなかったことがあるのに、お前らが。何も知らない奴がシェノンを語るな』──その後、レナルドはその生徒に重傷を負わせました」
謹慎を課されるくらいだから、と想像していた事の遥か上をいき、シェノンは驚きを隠せない。
キースが語った言葉が、数日前レナルドから直接聞いた言葉が重なる。「あいつらがシェノンについて根拠もない下らないことを言っているのが悪い。俺が正そうとして何が悪い?」と、レナルドはエトに噛みついていた。
「レナルドは周囲が恐れを感じるほど怒っていました」
あのときのように、怒っていたのだろうか。
「……よく謹慎で済んだね」
「そうですね。他の者が同じことをすれば、退学になってもおかしくありませんでした」
ただ公爵家の人間であっても、もっと罰は重かっただろう。
皮肉にも聖王の祝福を受けていたから神官の子の言葉を受け、聖王の祝福を受けた者だから軽い罰で済んだ。
「自分自身が不利益を被るほど、私のことで感情的にならないでよ……」
シェノンは聞いたことを少し後悔した。自分が原因でレナルドが、とは思っていない。自分に対する周囲の反応は周囲の責任だ。
この八年の間のレナルドの断片を知って、ただ受け止めきれない、と感じるのだ。
「そもそもシェノンさんて、どこにいたんですか? 長期任務とかですか?」
「……そうだね」
そんなものかなと誤魔化しかけて、やめる。ゴーウェンの弟子だ。
「いたけど、いなかったの」
「謎かけです?」
そこで、ディランが腕輪の調整を終わらせた。
軽く手首を振って、前よりも格段に軽くなった腕輪を感じながら、シェノンはディランに自分の不可思議な生き方について述べた。
「それって、時間の概念も含まれてますよね」
「そうね」
「やっぱりすごいなあ! ちなみに、今回起きるまでは何年眠ってたんですか?」
「八年」
「八年!?」
あーでもそうか、師匠にああ聞いたのが……とか自身が聞いていた話の時期とすり合わせているのか、ディランはぶつぶつ呟いている。
「じゃあレナルド先輩は、八年も待ってたんだ」
ディランの何気ない言葉がシェノンに突き刺さる。
と言うのも目覚めた日のことを思い出すからだ。
もしかして、自分は随分無神経なことをレナルドに言ったのではないだろうか。待っていてくれと頼んだわけでもなく、言われていたわけでもなく知らなかったのに、時間が経つにつれそう感じる。
「……ねえ、レナルドには八年間浮いた話はなかったの?」
誰かと付き合っていたとか。八年も待っていたなんて思いたくなくて、聞いてみる。
「そうですね……学院時代は、レミリア先輩と噂になってた時期はありました。第一騎士団にいるはずですけど、ご存じですか?」
「レミリア・スーシア」
「はい。その人です。あとはー……学院卒業後なら、薬草園でどなたかレディと話しているところを見たことがありますよ。笑って話しているところだったので、珍しかったですね」
「へえ?」
キースは、レナルドは基本無表情であり、だからこそシェノンが来てからのレナルドがよく笑うので周囲が戸惑っていると言っていた。
笑うのが珍しいとされるレナルドが、笑顔を向ける相手がいる。
「ディラン、私が怒るぞ」
「ええ! なんでですか!?」
今度はキース直々に怒ると言われ、ディランがあたふたする。
そんなディランの様子を横目に、キースがシェノンに目を向ける。
「レナルドが好きなのは、あなたです」
「知ってるよ」
知っているからこそ、聞いている。
何やら考え込むシェノンを、キースが若干不安そうな目で見るが、シェノンは気がつかない。
微妙な空気が漂う室内に、ノックの音が響く。
「……他に誰か呼んでるの?」
シェノンはキースを見上げて問うが、キースは首を横に振る。
では誰だ? 魔術具の仕事を受けていても、納品の際はあらかじめ日時が決められている。今日はそうではない。
研究の相談を受けることはたまにあるが……。
「シェノン殿、おられるのでしょう?」
扉の向こうからの声に、わずかな不快感を覚える。
「……ラザル・フロスト。何の用」
扉を開ける気にならず、シェノンはそのまま問いかける。
シェノンが呼んだ名に、ディランが「え、賢者の?」と目を丸くする。
「お久しぶりだというのにご挨拶ですねぇ、シェノン殿。ここを開けてくださってもよろしいのでは?」
「扉を開けるだけの用事があればね」
「私が中に入る必要のある用件は残念ながらありませんが、扉を開けなければならない用件はありますよ」
「へぇ」
「『賢者』の召集です。あなたも出席を」
確かに、扉を開けなければいけないようだ。そろそろ呼ばれるとは思っていたので驚きはない。
「え、シェノンさん『賢者』なんですか」
シェノンに対しても驚くディランに微笑んで、シェノンは席を立った。
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