魔法訓練1

「ベクトール様、今日は絵本はお休みです。代わりにオリビア様が魔法訓練を行うと聞いております。ですので、お外に行く服にお着替えをしてお外に行きましょう。」

いつものように朝食を食べた後はエラに絵本を読んでもらうものだと思っていたのだが今日はオリビア母さんが魔法を教えてくれるようだ。

「あい!」

僕はピシッと右手を挙げて返事をした。

魔法の使い方を知ることは必要だと感じていたので、エラに読んでもらう文字をもとに自分の部屋にある本の背表紙を見て魔法に関する本はないかと探してはいたのだが、あるのは絵本ばかりで1冊も魔法に関連する本は存在していなかった。なので、教えてもらえる機会がこんなにも早く来るとはと少し興奮している。

「ベクトール様、バンザイをしてください。」

「あい。」

そういえば、服を着替えさせてもらっている途中であり、今はパンツしか履いてインなかったんだった。すっかり忘れてた。


♦♦♦


エラに抱えられ外に出るとそこにはオリビア母さんの他にル-シイ姉さんとル-ナ姉さんがいた。

「よし、これで全員そろったわね。それじゃあ、始めましょうか。」

「あい!」

「「はい!」」

「ところで、オリビア母さん」

「ルーシー、どうかしたの?」

「なんでベクも一緒に受けているの?私たちが魔法を使いたいと言っても4歳になるまではダメだって言ってたのに…」

「ああ。それはね。ベクにはどうやら魔法の才能があるようで生まれた時から魔法を発動させていたからね。きちんとした魔法の使い方を教えることで事故を回避しようと考えたからだよ。それにベクは言葉を理解しているみたいだからね。」

「分かった。」

「そう、それはよかったわ。それじゃあ、始めるわね。まずはお手本を見せてあげるからそこで見ててね。」

「「はーい。」」

「あい。」

オリビア母さんは風の魔法のエアカッターと水の魔法のウオーターボールを使って見せてくれた。

「こんな感じで使うのよ。詠唱に関してはある方が安定して発動する上に消費魔力が減少するという利点があるからした方がいいと言われているけど、発動させる魔法の名前だけを言うことで魔法を発動させる詠唱破棄が初級魔法だと主流ね。だから、別に初級魔法は詠唱を覚えなくても大丈夫よ。母さんも初級魔法の詠唱をできるかといわれると怪しいもの。中級魔法や複数人で発動させる魔法を使うときは詠唱をする必要があるから覚えておきなさいよ。それじゃあ、実際に一人ずつやってみましょうか。」

「オリビア母さん、私たちは一度も魔法を使ったことがないんだよ。いきなり詠唱破棄は無理があると思うんだけど。」

「ルーナ、大丈夫よ。座学を受けたのだからできるわよ。」

「オリビア母さん、それは無理だよ。あと、一回目の実習は私たちの魔法適正を確認して魔力循環の練習を行うって昨日の勉強のときに言ってたじゃん!」

ルーシー姉さんがオリビア母さんに文句を言った。

「そうだったかしら?」

オリビア母さんは首をかしげながら固まった。

「まあ、いいわ。ルーシーとルーナは後で詠唱について書いた本を持ってきて教えるから少し待っててね。ベク、とりあえず実践してみようか。」

「あい。」

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