名前は?
お姉ちゃんたちが遊んでくれた翌日、外で遊んでいるとお兄ちゃんが寄ってきた。
「ベク、いつも庭でそこに座っているか、庭を散歩しているけど何か楽しいことがあるの?」
庭を散歩しているのではなく庭で走る練習をしているのだが、理解してもらえないかったようだ。あと、ここに座っている理由は僕の意志ではなく、エラが座らせるから座っているだけである。
「うんん。」
「そっか、兄ちゃんと遊ばない?」
「うん。」
「何して遊ぼうか?」
「…。」
「そうだ、ベク競争しようか!ベク走るの好きでしょ。」
「うん!」
「アルミン様、バ-ナ-ド様のように全力を出してはいけませんよ。」
「大丈夫だよ。エラ!さすがにお父さんのように手加減なしてベクと遊んでオリビア母さんに怒られたく無いし、ベクに拗ねられてもう一緒に遊ばないっていわれたくないからね。」
「それじゃあ…ベク、どうかしたの?」
アル兄さんってアルミンって言うんだ。後、お母さんがオリビアでお父さんはバ-ナ-ドって言うんだ。今知った気がする。もしかしたら過去に聞いたことがあったのかも知れないけど、お父さんやお母さんが僕の部屋に来る時はベク!って言いながら入って来てほとんどエラと会話をしないし、したとしてもエラは旦那様とか奥様としか呼ばないかったよね?ルーナ姉さんやルーシー姉さんと違ってアルミン兄さんはあまり僕の部屋を訪ねてこないし来たときもたいてい家族の誰かと一緒に来て、皆にアルと呼ばれてるのしか聞いたこと無いかな?ないよね?
「ア-にいしゃんじゃない?」
「え、あ うん…。」
アルミン兄さんがあわあわと慌て出した。その横で、エラも慌ててる。
なんとなくアルミン兄さんがアル兄さんじゃなかったことがとても衝撃的だったようだ。おかげで何言ってるんだか自分でもよく分からいことを口にしていた。
「アル!大丈夫?今度はあるがベクを泣かせたの?」
「奥様!違いますよ!アルミン様はまったく悪くありません。」
「そうなの?それじゃあ、何でベクは泣いているの?」
うん?本当だ!いつの間にか僕は泣いていたらしい。それでアルミン兄さんとエラがとても慌てているんだ。
「奥様、どうやらベクト-ル様は今まででアルミン様のことをアル兄さんだと思っておられたようで、アルミン兄さんであることに驚き、困惑されたようなのです。」
「なるほど、そういうことね。」
そう言うとオリビア母さんは僕のことを抱っこして僕の顔を見ながら、
「ベクだって、普段はベクと呼ばれているけど本当の名前はベクト-ルでしょ!アルも普段はアルと呼ばれているけど名前はアルミンなのよ。分かった?」
とやさしい声で言った。
「うん。」
「そういえばベクはお母さんの名前とお父さんの名前は分かる?」
「ママとトト」
「それは名前じゃ無いんだけれどまあ、いいかな。」
なんとなくオリビア母さんが悲しそうな顔をしているように見えた。だけど仕方がないじゃんだって今さっき知ったんだもん。まだうまく発音できないよ。それにママとトトの方が呼び慣れているんだもん!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます