第11話 ツインアーカイブ~!
見られたからには殺すしかない。殺し屋
「あのー……」念の為きいてみる。「殺すって、誰を?」
「あなたですよ」やっぱりか。「私の正体を知ってしまったからには、生かして帰せません。まぁ、私が不注意だったことは認めますが」
別に認めなくてもいい。
「私も……見られたまんまなのは嫌だね」魔法少女
「2対1?」
え? 僕が2人を相手にするの? 魔法少女と殺し屋をまとめて相手にするの? 一般男子高校生である僕が? 殺されない?
「行くよ~!」間延びした声で、
瞬間、僕の足元が爆発する。メルヘンチックな爆発と、まったくメルヘンじゃない破壊力だった。
当たれば骨も残らなさそうだ。しかし、地面には傷一つない。なんともオカルトな能力だな。さすがは魔法少女。
「苦しみは与えません」殺し屋
「まだ殺されたくないかな……」
ナイフを避けて、僕はバックステップで遠ざかる。いくらなんでも、こんな場所で殺される訳にはいかない。
「どんどん行くよ~。ファンタジックモデラート!」
技名適当だろ。絶対毎回考えて言ってるだろ。その生み出された巨大な大砲にファンタジックモデラート要素はないのよ。
大砲の弾と同時に、
……まったく……なんで僕の高校生活はこうなってしまったのだろう。もう面倒事に首を突っ込まないと約束したのに。
「逃げ足は早いですね」大砲をかわした僕に、
「それは知らん」
相手は魔法少女と殺し屋なのだ。僕の常識が通用する相手じゃない。どこまで逃げられるかなんてわからない。
「ツインアーカイブ~!」間延びしてる詠唱が腹立つな……「行くよ~」
この魔法少女は、本当に楽しそうに戦うものだ。それに比べて
さらに
魔法少女と殺し屋の連携攻撃。いや、連携というには雑だけれど、とにかく連続攻撃。
「……」息切れし始めてた
「ただの男子高校生だけど……」
「ありえません……」
逃げてただけなんだが。全然さばいてないんだが。さばいてたなんて言うと軽くあしらってるように聞こえるけれど、必死こいて逃げてただけだ。
とはいえ、このままでは殺されてしまう。このまま逃げ続けるのは不可能だ。
ということなので、挑発してみる。時間稼ぎのために。
「連携と言うには雑だね」
「……」煽り耐性がないのは、意外にも
「そうだね。お互いがお互いの邪魔してる。二人分の強さどころか、1人のときより弱いんじゃない?」
「わかるわかる~」
「はぁ?」煽り耐性ゼロなようだった。「連携がヘタなのは、そっちでしょう……私の邪魔ばかりして……」
「へぇ……じゃあ、どっちが強いか……確かめてみる?」
よし。狙い通りの流れ。お互いで潰しあってくれ。魔法少女と殺し屋で潰しあってくれ。僕はその間に逃げるから。
「いいでしょう……」
「私もやるんでいいけど……あとにしない? まずは、彼の始末をつけてから」舌打ちしそうになった。案外冷静じゃないか。「そっちの彼、思ったより動けるみたい。今度は油断なしで……」
「……」
「そんな力ないってば……」なんでみんな、僕を過大評価するのだろう。「誰にも言わないからさ……見逃してよ」
「ダメだね」本気になった
なんて野蛮な魔法少女だ……魔法少女に選ばれたらいけないタイプの人だろう。力を与えたらいけないタイプの人だろう。大人しくさせておくべき人だろう。
「じゃあ行くよ。今度こそ……本気で行く」
今までは彼女たちが油断していたから、なんとか逃げ切れていた。しかしこれからは油断がない。完全に本気の魔法少女と殺し屋を相手にしないといけない。
無理だ。少なくとも、1人では無理だ。
そして僕がジリジリと下がっているとき、
「まったく……本当にトラブルメイカーだね。キミは」
そんな聞き慣れた声が聞こえた。
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