15本目
木から抽出した漆を用意した塗装に使う粉状の塗料と混ぜていく。乳白色、赤色、黒色の3種類を用意してみた。
手に付かないように手袋をしながら
すると漆は予想通りしっかりと乾いた……というか固まった。近く置いてあった桶の水が減っている……たしか漆って水と結合して固まるんだったよね?
「やったー、昔の事をしっかり覚えていたわたしえらい!」
木の状態を変化させるのは
これで終わりじゃない、わたしは更に【加工】を使ってお皿の表面を研磨した……やった、今度も上手くいった。そして更に漆を塗っていくのだ。
「あれ? もしかしてわざわざ
試しに漆をお皿に塗る事をイメージして【加工】を使ったら……バッチリ塗れた、しかも全然ムラがない。
「もお! なんでもっと早く思いつかないかな~!」
塗料も少し減っている……でも塗装って【加工】扱いなのかな? ううん、深く考えたら駄目、ジョブが良い仕事してくれたと感謝しないと……ぐっじょぶ!
「ん、なんだ? どうしたアーリャ?」
汗だくになりながらドランが声をかけてきた……そういえばいたんだった。
「何でもないよ、少しは休みなさいよ」
「いや、でも、素振りするだけでもすっげー楽しい!!」
ドランは再びフンフン剣を振り始める。
「……」
あ、ケニーもいつの間に戻ってきて本を読んでる……こっちも夢中で今のやりとりに気付いていない。今更だけどお皿作り見られてたのかと思ったけど、互いが自分の事に夢中でいらない心配だったみたい。
わたしは再びお皿作りを再開する……そして……
「出来た……凄い、綺麗」
……とうとう漆の塗装、研磨を繰り返してお皿を完成させた。
乳白色で塗られたそれは木とは思えない光沢を放ち、途中の過程で入れたお洒落な柄も相まってなかなかの高級感を醸し出していた。
本来ならかなりの時間をかけないと出来ない事を1時間もかけずにやり遂げてしまった……前世で頑張っている職人さんに申し訳無い思いもあるけど、わたしだって必死だから許して欲しいよ。
「よし、これをお父さんに見てもらおう」
「いでっ!!」
ドランが腕を押さえながら痛みに顔を顰めている……足下には木刀が転がっていた。
「ちょっと、どうしたの!?」
「いってー、うげ、手の皮がむけてる!!」
うええっ、ドランの両手から血が出ていてなかなかショッキングな絵面になっていた。
「いま大人を呼んでくるから待っていて」
「ちょっと待った!!」
建物に駆け出そうとするわたしをケニーが止める。そのままドランに近寄るとその手を取って真剣な目で見つめている。
「皮膚が切れると透明の液体が出てきてまず血が止まる……新しい皮膚が出来ていく……余計汚れは出す」
ブツブツ何か呟きながら目を瞑ると、次第にその手が光っていく……やがて光が収まると、ドランの手のひらは……治っていた。
「で、できた」
「うそ」
「おおおおっ!! ケニーすっげー!!」
自分でやったのにケニーは信じられないのか自身の手のひらを見ている。ドランは再び木刀を拾うと……
「俺もケニーに負けてられない!! うおおおおおっ!!」
……再び素振りを始めてしまった。
ケニーは嬉しそうにわたしの元に走り寄ってくる。
「凄いよ、アーリャの言うとおりだった!! 本の通りにイメージしたら回復魔法が使えたよ!!」
「よかったね、もうこれからは一人でも練習出来そうだね」
「うん、アーリャもイマイチジョブソロでも負けないで頑張ってね」
失敬な!!
わたしはちゃんと有能だから!! これからどんどんサクセスするんだからね!! あー、もう本当のジョブの事言いたい!!
まぁ、若干煩わしいと感じるものの、いちおう幼馴染みなので彼等の成功は素直に嬉しい……あとは、前世の幼馴染みと会えれば最高なんだけどね。
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その夜、お父さんに出来上がったお皿を見せたらビックリ仰天されてしまった。下手な陶器のお皿よりも高級感があり、軽くて割れにくいとい利点からかなり売れそうだと言ってくれた。
……こうしてわたしの商品第一号が無事に出来上がったのでした
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色々ツッコミ所があるかもしれませんが(以下略
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