14本目
なんとか近所のお子様達をやり過ごさないと……わたしには最優先でやるべき事があるんだから! そんなわたしの意思を知らずにドランは脳天気な顔をしている。
「海賊略奪ごっこしようぜ!」
「女の子に何やらせようとしてるのよ!」
「そ、そうだよ、僕は読書がいいよ」
困ったな~なんとか誤魔化さないと……そうだ。
「ドラン、あなたのジョブってなんだっけ?」
「俺か~? 俺のジョブは超珍しい『サムライ』だぜ!! なんでも東の国の戦士みたいなジョブなんだぜ……って知ってるよな?」
「でも誰も教えてくれる人いないんでしょ?」
「そうなんだよ~、練習用の剣を振っても、ちっともジョブの効果も出てこないし、練習所で習ってもジョブ無しの奴と変わらない上達具合だし……これじゃ将来、冒険者になれるか不安だぜ」
あたしは桜の次にジョブの練習で育てていた樫の木に触れ【加工】を使う……桜を育てているうちにいつの間に使えるようになったんだ……素材に使った木を、頭の中にイメージした形に加工できる能力で、複雑で作るのが難しい物ほど
そして、加工を終えたわたしの手には木刀が握られていた。
「はい、これあげるから素振りして練習しなさい」
「あれ? こんなの何処にあった? まぁいいや、それにしても見た事無い形だな~剣なのか?」
ドランは剣を握った途端に目を見開いた。
「おおおおおおっ!! なんだコレ!! ビビっときたぞ!! うおおおおおっ!!」
大げさに叫び声を上げると凄い勢いで素振りを始めた。え? 本当に凄い、素人目に見ても綺麗に振れてる気がするよ……もしかしてと思ってたけど、サムライのジョブは『刀』でこそ効果を発揮出来るのかもしれない。
よし、これでドランはしばらくブンブンやっているだろうから一安心。
「イマイチジョブトリオがコンビになっちゃったね」
ちょっと、コンビのひとりってわたしの事? 失礼な! わたしはちゃんと
「ケニーのジョブはクレリックだっけ?」
「うん、神殿に所属するわけじゃないから癒やしの魔法を教わる事も出来ないから、使える見込みもないんだ」
たしかに神殿に行って『神様に仕える気は無いけど魔法教えて』とか門前払いだよね。うーんどうしよう?
そういえばWEB小説とかって『魔法はイメージ』なんて良くあるから、癒やしのイメージとかできればいいんじゃないの?
「ねぇ、ケニー。あなたの家に医学の本とかある? できるだけ簡単なの」
「たしか冒険者の応急処置とか書いてあるのがあった気がする」
「癒やしの魔法って、実際にどうやって体が治るのかを知っておくと使えるようになるって聞いたよ」
聞いたのは小説を書いた作者さんからだけどね。
「そうかな? よし、僕その本を読んでみるよ! 急いで持ってくるね!」
「ちょっと、別にここで読まなくてもじぶん
でも、とりあえず二人とも自分の事に夢中になったからヨシとしよう……ちょっとドランの『ふんっふんっ!』ってかけ声が気になるけど。
まずは裏庭で育てている木のうち、食器用の木はこの世界の木を選んでみた。実際に食器に使われている木なので耐久性も問題ないと思う。
そして、わたしが売れると確信している理由はこの木……
そう、わたしのジョブに備わっている能力【ラーニング】は、一度触れた事のある木なら
既に売り物の塗料……お代は出世払い……をいくつか試して良い感じの組み合わせを見つけているの。
わたしは漆の木の前に壺を持ってくると【変形】を使って、木の側面に水道のような管が出てくると、そこからトローッと透明の樹液が出てきた。
わざわざ木の表面を切りつけなくともOKな便利さ……こんな有能なジョブをケニーはイマイチなんて失礼しちゃうわよね。
……こうしてわたしは売れる食器計画を着々と進めていくのでした。
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色々ツッコミ所があるかもしれませんが大目に見て下さい。
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