第12話 げえむかいし


 全員が押し黙ったのを見計らって、僕は切り出す。

「「あの……」」

 ん、声がハモったな。

「あっ、すみません! お先にどうぞ!」

 足利さんに起こされていた、ミホと名乗った女性が慌てて僕の方を見る。

「いえ、大したことじゃないんで、そちらこそお先に」

「えっと、でも、こちらこそ……」ぶんぶんと胸の前で手を振る。

「そういうのいいから。言うなら早くしてよ、時間ないし」足利さんがげんなりして僕たち二人を見つめる。


「そ、それじゃあ」ミホさんは自信なさげに切り出し始める。

「さっき聞いてて思ったんですけど、少し不思議だなあって。


《99時間で七つの課題を解いて戴きます》

      と、

《七つの課題をすべてクリアし、部屋を脱出することが本ゲームの目的となります》


 ?」


 ……どういうことだろうか。解らなかったのはどうやら僕だけではないようで、幾人かは首を傾げている。


「見落としてたわ。あなた、目聡いわね」勅使河原さんは感心したように言う。


「えっと、つまりですね……」ミホさんは小さく咳をして、

「《七つの課題を全てクリアする》ことと《部屋を脱出する》ことは別問題なんじゃないかって……。七つの課題をクリアすれば自動的に脱出できるんじゃなくて…………」


 と、ここでまた無慈悲なブザーの音。本当に意地の悪い、あるいは時間に厳しい黒幕だ。


《現状の確認を行います。探偵数、七。被害者数、零》


《探偵一、胡桃沢くるみさわ弥弦みつる


《探偵二、足利あしかが桃子ももこ


《探偵三、八朔はっさく隆二りゅうじ


《探偵四、いちごたに美穂みほ


《探偵五、勅使河原てしがわら杏香きょうか


《探偵六、栂村司んがむらつかさ


《探偵七、高梨たかなし羽衣里はいり》 


《ゲームを開始します。それでは第一のゲーム…………》

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