エピローグ
第××話 名前
――これは私がノワラお姉ちゃんの家を出た時の話……。
「ソフィアに新しい名前を上げようと思うの。やっぱり女神様のときの名前のままはあまりよくないと思うわ」
ノワラお姉ちゃんが私に名前を付けてくれる?
とても嬉しかった。この名前が嫌いなわけではないけれど、どうしても閉じ込められていた時の記憶と重なってしまうからだ。
「候補は決めてあるの。だけど、本当はロコちゃんにも半分お願いしたかったんだけどね?」
「しゃーねぇなのお姉ちゃんにも?」
「うふふ、ソフィアはロコちゃんをずっとそう呼ぶのね?」
「意味はよくわからなかったけど、初めて聞く言葉で耳に残ったんだ」
すると、突然ノワラお姉ちゃんは手を叩いた。
「いいこと思い付いたわ! いい? これから旅立つあなたの新しい名前よ?」
私はこくんとひとつ頷いた。お姉ちゃんの表情はいきいきして、とても楽しそうだ。
「1つは、いろんな国を旅しているときに聞いたお伽話からとったの。ソフィアみたいに悠久の時を生きる美しい鳥がこの世界のどこかにいるそうよ?」
「……悠久の時を生きる鳥?」
「そうよ。そしてもう1つ――、これはロコちゃんに付けてほしかったけど、それはできないから、あなたの好きな『今の言葉』をもらうわ!」
「今の言葉って……?」
お姉ちゃんは羽ペンを手に取って、白紙にさらさらとなにか書き始めた。
「そのまんまじゃちょっと芸がないから、ちゃんと名前っぽくしたわ。気に入ってくれたかしら?」
ノワラお姉ちゃんが手渡してくれた紙には、私の新しい名前が書かれていた。今日から私はこの名前を背負ってひとりで生きていくんだ。
『シャネイラ・ヘニクス』
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