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武緒さつき♀ギブアップしたので帰ってきた七星剣先生にバトンタッチです。
著者 七星剣 蓮
第69話 時の旅路
一人で、王都ハミシバを出てから私は隣りの国でこっそり荷馬車を降りた。予め、貯めていた金貨をアメシストさんに渡していて、それを馭者さんが預かってくれていた。もちろん、この危ない仕事を請け負ってくれた分のお代を差し引いてだ。
それからは宿を転々としながら、また別の国へと移っていった。王宮の追っ手が来るかもしれない、という恐怖と、王都ハミシバから離れすぎるとドリゼラ姉さんやアメシストさんたちと連絡が付かない、という不安との葛藤に苛まれた。
だけど、私は安全を最優先にして王都ハミシバから距離を置くことを選んだ。一人旅は楽ではなかったけど、決して辛いものでもなかった。これが二人だったら早々に心労で心が折れていたかもしれない。
100年の月日が流れた。
王都ハミシバの首都名すらほとんど聞かない遠くの国へとやってきた。
悪魔の呪いはドリゼラ姉さんだけではなくワタシにも及んでいるようだ、ワタシも100歳をはるかに超えても歳をとることもなく17歳の姿を維持していた。
そこで私は周囲の人にバレないように転々と小さな空き家を見つけて一人暮らすることにしている。
昔天書の写本をした経験を生かして、経営コンサルタントのようなことをしながら、生計を立てて、時々王立図書館の情報がないかを探ったりもした。
ドリゼラ姉さんも歳を取らないのだから多分もう楽園天国に移されてまた新しい何人もの王妃がご写本を継いでいるのだろうな。
◇◇◇
首都ハミシバから遠く離れた国に留まるようになって、300年以上の月日が流れた。
50年に一度ずつくらいの頻度でチャーミング王子(のような人)が現れて各地の美しいと評判の娘を王妃に迎えている、まるで人形のような顔のチャーミング王子があの悪魔なのかどうかはわからないが、シンデレラはあの錠前オタクのチャーミング王だと思っている。
私以外の誰でもよかったんだな、彼がかつて「素敵な王子様」だったと言っても笑い話にもならなそうだ。
今でもきっと、想像も及ばないくらいの膨大な魔力をもっていると思うのだけど、あえてそれと気付くような行動を民衆の前ではしなかった。とても頭がよくて、周りにいる人に合わせて、不自然に見えないよう振るまっているんだと思う。
チャーミング王子、王と話して気付いたのは、おそらく彼は成長の「時」がおそらく1000年単位くらい緩やかということだ。ほんの少しずつだけど身長が伸びたり、身体が大人になっている自覚はあるみたい昔そんなことを話していた、彼が人間だと思っていた少女時代には冗談だと思っていたけど。
チャーミング王が王妃を何人も迎えていくにつれて私は、楽園天国の中にいる人と連絡を取る手段を探すようになっていた。ドリゼラ姉さんも必ずいるだろうし。目立ったことをするには、まだ過ぎた時間が「短すぎる」と思ったけど、気にしないではいられなかった。
チャーミング王にシンデレラの話をしても覚えてないだろうな。
王妃になって楽園天国にいるだろうドリゼラ姉さんにも会いたいなあ。
ドリゼラ姉さん、約束したもんね? 私たち仲良し姉妹だって、ずっと一緒だって……。
ワタシにも悪魔チャーミング王の呪いで不死になっているとは知らないだろうけど、でも気持ちは変わらないからね?
1000年かかっても絶対に会いに行くよ。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
時の進み方がヤバい……。
不安…(´・∞・`;)聖女の求心力で、教団内の悪が一掃されてるといいけど…
そして、ソフィアはやはり…?(´・∞・`;)おおぅ
作者からの返信
コメントありがとうございます!
グランソフィアは今後どう変わっていくかは残された者たちにかかっていそうですね……。