武尾さぬきさん。コメント失礼します。
私の稚作に、心の籠ったレビューをありがとうございます(つд⊂)エーン
私の方こそ、毎朝の楽しみでずっと拝読させて頂いていているのに、先にレビューを頂いてしまって恐縮です><
密かに、七星剣 蓮さんのパロディコメントも楽しんでおります笑
パーラ様とノワちゃん(覚醒中)のお話も最終章でございますね。
こちらも大好きでした幸福の花は静かに笑うが幸せに終わって、(1週間程同時連載であったと記憶しておりますが)もう63話(2か月)になるのですね(しみじみ
終の章最後まで毎日の楽しみとして拝読させて頂きます(#^^#)
応援しております。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
ついに最終章まで来ました。サフィールさんをぶっ飛ばしたわけですが、この先になにが待っているのか……。
作者 武緒さつき♀
第63話 全力
ご写本の間とよく似た地下へと続く長い階段を私とシーラちゃんは下っていた。湿気が多くてひんやりとした空気が流れている。さっき上がってきた階段と比べると幅は広くて、大人数で行き来したり荷物を運んだりもできると思った。
シーラちゃんと頻繁に顔を合わせるけどお互い無言でいる。声も音も反響が凄そうだからだ。ただ、次の瞬間私たちの短い悲鳴がここをこだましていた。
「なにを企んでいる知りませんが、お戯れは終わりにしましょう? おふたりとも?」
コンサドーレ様が階段の一番下、ご写本の間のように扉があるところの前でこちらを向いて待っていたのだ。
戸惑っている私に反してシーラちゃんは頭のウィンプルを投げ捨てずんずんと彼の元へと向かっていく。
「やるじゃん? ドリゼラ姉さんの神演技に気付いてたのかよ?」
長身のコンサドーレ様はいつも通り表情を変えずにシーラちゃんを見下ろしている。
「確信はありませんでしたが、あなた方がなにか企んでいるのは薄々感づいていました。ですから、逆にどこまで知っているのか確かめたくなりまして」
「ワタシらを出し抜いたつもりかよ?」
「そうですね。ただ、ドリゼラ様も一緒に来ているのは想定外です。親衛隊に捕まえておくよう命じたのですが……」
その方々は裏拳をくらって気絶していると思われます……。
大きな扉を背にして立ち塞がるコンサドーレ様、私たちは揃って彼の顔を見つめた。いいえ、睨みつけていた。
「ここまで来てしまった以上、おふたりにはそれなりの覚悟をしてもらわねばなりません。特に……、本物の王妃ではないドリゼラ様にはです」
彼は一歩こちらに踏み出してきた。同じ分だけシーラちゃんが後ずさる。コンサドーレ様の表情はいつもと変わらない……、けど、とても冷たい顔に見える。
「シーラ様は『王妃』です。監視はこれまでの何倍にもなるでしょうが、今後も役目を果たしてもらう必要があります」
一呼吸おいて彼は私の顔に目を向けた。
「ドリゼラ・トレメイン!まずは大人しくここで捕まりなさい。そうすれば悪いようにはしません。私からキシーダ様にそう進言しましょう」
「捕まったら楽園天国行きですか!?」
私は語気を強めて言った。捕まる意思なんてこれっぽっちもない。
「いろいろご理解されてるようですね? よければ楽園天国でお母様とお姉様と暮らせるよう計らいましょう。ですが、逆らうようなら」
「痛っ! 離せよ、堅物野郎っ!!」
彼はシーラちゃんの手を捻るようにして掴んだ。相変わらずの無表情でだ。
――ありがとう、コンサドーレ様。今のあなたの行いのおかげで、全部吹っ切れたわ!
ちらりと胸元のネックレスに目をやる。今付けているのは白い宝石、ロコちゃんから借りたものだ。以前もらった黒い宝石のネックレスは、先日ロコちゃんと街を眺めた高台の崖から投げ捨てた。
あなたが……、王妃様の身代わりとなった私を利用してるって気付いたから!
「ドリゼラ・トレメイン!抵抗はやめなさい。貴女が他の女性と比べてずいぶんと力自慢なのは存じています……が、所詮は女性の腕力です」
私は迷わず彼の前に踏み込む。
私は、一度だけご写本の智慧から「お悩み書きの返事」すなわち「ご智慧」をもらったことがある。それは、人よりずっと強い『力』の使い方についてだ。
女の子らしく、非力なフリをして生きてもいいと思っていた。どうしたものかと迷った末に、ダメで元々のつもりでご写本の智慧を頼ってみた。
すると、それまでどんなお悩みにも返事はなかったのに、これに限ってすぐに返事が届いたのだ。そこには、こう記されていた。
『迷わず、思う存分その力を振るいなさい』
コンサドーレ様……、残念でした。
そうね、あなたはシーラちゃんの口から私が「ストリート上がり」だって聞いたんでしょう? ご公務の帰りに襲われた時もあっけなく連れ去られたもんね。その程度の「力」って認識なんでしょう?
甘すぎるんだからっ!!
「女の子に手を出す男なんて最っっ低!!」
きっと私の動きは彼の想定よりずっとずっと速かったんだと思う。私の目に映ったのは、特に身構えず、ただ目を大きく見開いた彼の表情。その頬から顎をなぞるように私は平手を振り抜いた。彼の表情が歪んでいくのがスローモーションのようにゆっくりと見えた気がする。
頭が飛んでいくんじゃないかと思うくらいのストリート上がりの全力のビンタ。彼は後ろ向きに三回転半して吹っ飛んだ。「破裂音」と言っても差し支えない轟音が同時に響き渡る。
あっちゃー……、死んでないよね?
コンサドーレ様は受け身もとらずにその場で倒れた。どうやら、手の力は抜けていたみたいでシーラちゃんは解放されていた。
「うっわー……、コンサドーレ死んだんじゃね? 白目むいてんじゃん?」
私は、頬の感触が残る手のひらを見つめていた。とっても痺れているけど……。
「シーラちゃん、手袋持ってない? 素手は私もちょっと痛いわ?」
痛いのは手じゃなくて心かな? 全部振り切ったつもりだったのに自然と涙が出てくる。おかしいなあ?
「ドリゼラ姉さんに今必要なのはハンカチでしょ?」
彼女はハンカチと皮の手袋、両方を差し出してきた。手袋も持ってたのね……。
涙を拭った私は手袋をはめて、次の戦いに挑む。目の前の扉には鍵がかかっている。きっとコンサドーレ様がどこかに鍵を持っているのだろうけど、目を覚まされてもイヤだし、いろいろと面倒になってきた。
うふふ、「面倒」だなんて……、シーラちゃんがどんどん心に浸食してきているみたい。
「こちょガチャ。」
ストリートで会得した扉の錠前を針金一本で解錠するスキル、もう法より正義なのよ、ドリゼラ・トレメイン、ここにきて覚醒したわ。
鍵の開いた扉を前に、私とシーラちゃんはお互いの意思を確認するように目を合わせた。小さく頷いてから、その扉を開けた。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
まさかのピッキング!?
つ…強すぎる…(´ ゜∞ ゜` )おふっ
サフィール…これで、実はいい人だったら、なんともかわいそう…w(´・∞・` )
作者からの返信
コメントありがとうございます!
サフィールはノワラの本気をくらって復活できそうにないですね……;