著者 武緒さつき♀
第61話 使命
「シーラちゃんの決意は揺るがないんだね?」
私は目の前の街並みに見つめながら、隣りの彼女に問い掛けた。今、目に映っている街のほとんどの人が天書の智慧を信じ、王妃シンデレラ様を慕っているんだ。
「うん、足りない頭でワタシなりにいっぱい悩んで考えたんだ。けどさ、やっぱり今のまんまはおかしいと思う」
「そうね……。私だってそう思うわ」
シーラちゃんは街の光の反射を受けて神々しいほど輝いて見えた。私、ホントにこの子とそっくりなの? と疑いたくなるほど王妃シンデレラ様の姿は美しかった。この街の人にとって彼女はいつだってこうして光り輝いているんだろうな。
「きっとすんごく大変なことになると思う。この国から出て行かないといけないかなあ? むずかしいことわかんないし、無責任とも思うけどさ……。あれこれ考えてなにもしないのはワタシ、嫌なんだ」
「私たちがうまくやったら、その後は助けてくれる人たちがいるの。ちゃんと全部話した上で協力してくれるって言ってるから安心して?」
「ははっ! ワタシそんなに心配はしてないよ?」
明るい笑顔をこちらに向けてシーラちゃんはそう言った。心配は……してないんだ?
「ワタシだけだったら絶対無理だけどさ、ドリゼラ姉さんが一緒なら……、ふたりだったらなんだってやれる気がするし全然怖くないよ?」
「シーラちゃんは私を過大評価してるわよ? そんなに頼られたらそれこそ責任感じちゃうわ?」
「ドリゼラ姉さんのことはワタシ、この世で一番信頼してるよ!? それにドリゼラ姉さんと一緒なら最悪、失敗してもいいかなっとも思ってるし」
私となら失敗してもいい? ちょっと意外な感じがした。
「なんてーかさ、ドリゼラ姉さんとなら絶対うまくやれると思ってるよ! だけど、ダメになってもドリゼラ姉さんとならワタシは納得できると思うんだ。他人に対してこんなふうに思ったのドリゼラ姉さんが初めてだよ?」
この人とならダメでも納得できる、か……。シーラちゃんてすごいな。人に対してそんなふうに考えたことないかもしれない。だけど、それはとてもとても素敵なことだ。
「ありがとう、シーラちゃん。私もシーラちゃんとだったら絶対うまくいくと思ってる! 失敗なんてさせないわ!」
「うん、どっか別んとこに行くことなってもワタシとドリゼラ姉さんはずっと一緒だからね?」
彼女は左手の小指を差し向けてきた。そういえば、再開した時に仲良し姉妹になる約束をしたっけ……。
その指に私の左手の小指を絡める。お互いにきゅっと力を入れた。お互いに絡み合った指を見つめた後に、街の光景を見下ろした。
「この街の……、いいえ、この国の人たちを天書の智慧はずっと救ってきたんだよね?」
私の問い掛けにロコちゃんは無言で頷く。
「うん、そうだよ。だから……、内閣を倒して偽天書を焼き捨て、天書の本当の著者、七星の賢者様を救ってあげるのがワタシたちの使命なんだ」
おおぅ…(´・∞・`;)いよいよ…
作者からの返信
コメントありがとうございます!
次章から核心に迫ります!