デキる女は学校で相談屋をひらき荒稼ぎする
イツミン⇔イスミン
第1話 サッカー部エースの評判を落とせ 01
自慢ではないが、わたしはデキる女だ。
いや、もはや超デキる女だと言っても、過言ではない。
学校の成績は常に最上位なほど頭脳明晰だし、帰宅部ながら運動部から毎度助っ人を頼まれるほど運動神経抜群だし、性格だってまるで聖人君子のようだ。
……性格の部分はちょっと盛ったかもしれない。
わたしはたぶん、性格はあんましよくない。
いや、もしかしたらだけど、性悪女ってやつかもしれない。
だがほかの部分は正しいはずだ。
こないだだって中間テストで全教科満点をとったし、万年一回戦負けの女子野球部の助っ人をして投打に活躍して初めて勝たせた。
そんなわたしなので、実にいろんな人間に頼られる。
通っている高校では生徒は勿論、先生からも、用務員からも相談を受け、問題を解決している。
家でだって家族の手助けをしているし、町内でも厄介ごとはまずわたしにアドバイスを求めに来るし、インターネット上ではわたしのことを神と呼ぶ者までいるくらいだ。
そんなわたしだが、実は裏の顔がある。
いや、裏の顔というか、もしかしたらこっちが表の顔かもしれない。
デキる女であることを活かして、学校の空き教室を借用して、相談屋をやっているのだ。
わたしに持ち込まれる相談事は、実は簡単なものばかりではない。
なかでも学校は伏魔殿とも言われるだけあり、とんでもない相談が持ち込まれることがある。
宿題を写させてほしいとか、荷物を運んでほしいとか、花壇の植え替えを手伝ってほしいとか、そんなではなく、もっとどろどろしている。
試合に出るのに足りない選手の代わりになってほしいとか、大会で初めて勝つのに助っ人になってほしいとか、逆に全国大会に出るための優勝請負人になってほしいとか、青春の汗なんてとんでもない。
人間一皮むけば欲望が渦巻いているのかというくらいの、このわたしでさえ何度も目をしばたかせるような、思わず言葉を飲み込むような相談事だ。
いじめの復讐をしてくれとか、恋敵を失脚させてくれとか、優等生の裏の顔を暴いてほしいとか、そんなだ。
だがわたしには、そっちのほうが向いている。
先に述べた通り、わたしはあんまし性格がよくない。
だので、他人の足を引っ張ったりとか、そういうことで心は痛まないし、むしろちょっと楽しかったりする。
ましてやそれで報酬も手に入れば、懐は温かくなるし、ストレス解消ですっきりするし、捨てるところもないではないか。
そう、わたしはデキる女であることを活かして、学校の空き教室を借用して、有償の相談屋をやっているのだ。
表向きは頼りがいのあるスーパー女子高生だが、裏では実はお金をもらって他人の足を引っ張って喜ぶ、なんというか、フィクサーみたいなやつなのだ。
裏の顔というか表の顔で、最近の高校生はみんなお金を持っているので、荒稼ぎをして、ブランドバッグでも買おうかしら。
自慢ではないが、わたしはデキる女だ。
いや、もはや超デキる女だと言っても、過言ではない。
学校の成績は常に最上位なほど頭脳明晰だし、帰宅部ながら運動部から毎度助っ人を頼まれるほど運動神経抜群だし、性格だってまるで聖人君子のようだ。
自慢ではないが、わたしはデキる女だ。
今日も今日とて、相談屋に客が来る。
さあ、今日は誰が、誰の足を引っ張れと言うのだろうか。
今日も今日とて、相談屋に客が来る。
さあ、今回はどれだけ稼げて、どれだけわたしのストレスを解消させてくれるだろうか。
ちなみにブランドバッグには興味がないので、報酬はたまるいっぽうなのだが……。
別にどれだけ膨らんでも、貯金通帳は爆発しないので、なんの心配はいらない。
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