ドーナツの中心で……?

1-1 傷跡

「――はぁ……死ぬかと思った」


 セルジオは疲れた様子で近くの壁にもたれる。

 今のセルジオの表情はまるで戦争。戦いのど真ん中に彫り込まれて命からがら逃げてきた人。のようにも見えるかもしれないが。

 

 事実である。

 ここ大切。事実である。

  

 なぜセルジオがこんな姿になっているのか。

 それはつい先ほど、片付けの最中に姿を消した2人がいきなりドンパチを始めようとして、それをたまたま見つけて慌てて止めに入ったからだ。

 その際に自身の真横を2人の風の力が通過し――少しでもどちらかの攻撃がずれていたら。いや、自分の立った場所が違ったら――もうこのように自分はいなかったのではないだろうか。という経験をした。というのが今の現状だ。

 

 すると、ちょっと急激に年を取ったかもしれないセルジオの隣に、いつも通りの黒いワンピース姿のルーナが申し訳なさそうに近寄ってきた。


「あっ、えっと――その……セルジオ。さっきはごめん。でもあれはソフィが悪いから――でもその――セルジオに攻撃しそうになったのはごめん」


 どうやら先ほど危うく攻撃を当ててしまいそうになったことを詫びにルーナはセルジオのもとへとやって来たらしい。

 なお、ルーナ曰く。原因を作ったと言われている本人は、特に悪びれる様子もなく。いつも通り絵になる立ち振る舞いだ。今ここにたばこでもあったら、煙草を吸いながら――かっこよく立っている。みたいなポーズをしていそうなくらい落ち着いている。

 まあそもそもソフィさんたばこは吸わないと思うが――お酒はよく飲んでいるがね。そのお酒もさすがに今の状況では難しいだろうが。


「惜しいですね。もう少しでルーナ様のハプニングが発生したのに――」


 すると、さすがというべきか。こちらの視線に気が付いたらしく。すぐにろくでもないことを言っていたので、今のところソフィさんはもいつも通りだ。

 そして急激に年を取ったかもしれないセルジオは、ソフィに何か言ってもと直感で感じ。とりあえずいつも通りルーナに返事をした。


「いつものことですよね。できれば――誰もいないところでしてください。せっかく町のみんなが片付けているのに、そのさなか魔王城の離れが吹き飛んだとか――もう何ともですから。唯一ここがまともな場所なのにここも壊れたら大変なんですから」

「ご。ごめん。って、ソフィ!もとはと言えばソフィがサボっているから悪いんでしょ。みんな頑張ってくれているのに。ソフィも謝る!ってか私にも謝れー」


 セルジオがいつも通り返事をしてくれたからか。ルーナは少しほっとした表情をしてから、ソフィの方を睨みつつ声をかけていた。

 しかし。ソフィは全く動じていなかった。これもいつも通りだ。


「私には私の仕事がありますので――」

「何よ。私の仕事って」

「それはシークレットです」


 これまたかっこよく立ったまま。口の前に人差し指を当てつつソフィはそんなことをセルジオとルーナに向かって言った。


「もう。セルジオ。あの馬鹿どうしたらいい?」


 そして呆れながら、ルーナはセルジオに声をかけたが――どうにかできる人はここにいないと先に言っておこう。


「俺に言われても――」


 なのでセルジオも何とも答えにくそうに返事をするだけだった。


「さっきも1人でぶつぶつ話してるし。もしかして――ユーゲントキーファーからの帰り道で何かあった?ソフィどこかで頭打った?」


 すると今度は少し考える素振りをしながらルーナがつぶやいた。するとそれにセルジオがまず反応した。


「あっ、そういえばソフィさん。町中であった時怪我してましたが――って、それは大丈夫そうでしたが――」


 そしてセルジオはソフィの方を見たが――今現在ソフィが怪我をしているというところはない。このヴアイゼインゼルの町が攻撃されたときはソフィも怪我を少しだけしていたが――どんな回復力だ。というレベルですでに綺麗に怪我は治っていた。

 ちなみにルーナはそもそも怪我をしていないので今まで通りだが。

 セルジオ本人はかすり傷などがまだ残っている。

 なのでセルジオはルーナのつぶやきに反応しつつ。もしかすると、人間と魔族では体の作りがやはり違うのだろうか?などと少し考えたが――そんな余計なことは考えている暇は本当は今現在なかったりする――。


「セルジオ様が冷たい――とりあえず泣いておきましょうか。しくしく……」


 でもこの場に居る3人。和んでいる。という雰囲気ではないが。そこそここの3人だけで魔王城の離れで生活してきたこともあり。今の緊急事態の中でも3人が揃ったからか。なぜか余計な話は続いていた。

 または――ここの3人の中では最年長となるソフィが他の2人に対して緊張を解こうと。余計なことをしているのかもしれないが――それはソフィ本人しかわからない事。

 なお現在ソフィはなぜか泣きまねをしていた。もちろんそんな光景を見せられた2人はというと――。


「――いつも通りね。ソフィは」

「元気そうですね」


 ソフィが元気なことを確認したのだった。

 そして顔を見合わせたセルジオとルーナは少し微笑み。やれやれという表情を互いにするのだった。

 

「――うんうん」


 ――その際にソフィが頷いていたことは、2人は知らない事だったりする。


 そして少し和んだ?のかは結局わからなかったが。セルジオとルーナ。ソフィの3人はそのあとそれぞれの持ち場に――まだ行かなかった。


 まだ行かなかった。何故行かなかったかというと――。


「とにかく。ソフィと居るとろくでもない事しか起こらないから、セルジオ行こう」


 一度はルーナがセルジオに声をかけて歩き出そうとしたが――ここでソフィが余計なことをしたからだ。


「まあまあルーナ様ほんとここ最近いうようになりましたね――ってことで、お仕事に戻る前に少し悲鳴でも上げてください。あっ。セルジオ様が喜ぶことをしますから――」

「――へっ?」


 唐突にソフィがそんなことを言い出して――。


「ちょちょ!ソフィさん!?なんでこんなところで魔――」


 セルジオが止める前にそれは発動されたのだった。

 ソフィのいたずら顔にセルジオが先に気が付いたが。もちろんソフィのいたずら?は、セルジオでは止められないので――そのまま3人が居たところで風の魔術が発動された。


「――きゃああああ。ちょっと!ソフィ!やめ!やめなさい!」

「油断しすぎですね。これでまた攻められたら負けますよ?」

「って私に――風を――きゃああ。ぶつけるな――」


 そして風の魔術を受けていたルーナも仕返し――と言わんばかりに急いで魔術を発動する。


「ちょ、ルーナも魔術発動しようとし――のわっ!?!?」


 その際、1人。人間が耐えきれず後ろに吹き飛ばされたが――いきなり始まった戦い?の中に居た2人は気が付かなかった。いや、ソフィは気が付いていたが。触れなかった。


「ちっちっちっ、ルーナ様それくらいではまだまだですね。あの時の勢いはどこに行きました?本気で来ないなら。すっぽんぽんにしてあげましょう」

「きゃっもう!セルジオこっち見るな――からのソフィ――飛んで――きゃあああ」


 それから、やっぱりというのか。少し3人が居た場所が荒れたのだった。

 ルーナとソフィの魔術が発動し。地面に複数穴が――という状況が出来上がった。

 なお、被害があったのは、ほとんどルーナのいた場所だったが。

 戦い?の後ソフィは涼しい顔をしていて、ルーナはボロボロだった。

 あと、1人巻き込まれた人間が擦り傷を負った。

 それと――地面以外の被害を簡単に言っておくと。少し離れたところで、ルーナの風の魔術により扉が1枚ぶっ飛んだのと。ルーナのワンピースがめくれ上がり今現在ルーナが顔を赤くして恥ずかしそうにしているくらいである。


「なんなのよ!変態!」


 そしてルーナはソフィに叫んでいたのだった。多分ソフィは聞いてないが……。


「――もう嫌だ」


 あと、少し吹き飛ばされたセルジオがそんなことをつぶやいていたのだった。こちらのつぶやきも誰にも届いていなかったとか。


 ◆


「なんかどっと疲れたわ」


 ルーナとソフィの戦い?があってしばらく。というか、先ほどの出来事は本当に不要なこと。無駄な時間だったりするが――あの出来事は3人しか知らない事。

 今は何もなかったかのように、ルーナとセルジオが一緒にヴアイゼインゼルの町の様子を見に話しながら向かっていた。


「えっと――ルーナ?今後いきなり戦わないようにあとあと片付けが大変なのと、今本当に怪我とかしたらだから」

「えっと――それはごめん。うん。気を付ける」

「本当にわかってるのか――特にソフィさん」

「あれは――馬鹿で変態だから――わかってないと思う」


 ★


 こほん。

 ここでソフィちゃんの一言――パチパチー。


 えっ?唐突になんだって?

 とりあえず聞きなさい。


『本当はここから物語は再開するはずだったのに――ルーナ様がこの後なかなかハプニングを起こしてくれそうになかったので、先に起こしておきました。皆さん私を褒めてください。そしてソフィファンクラブ会員場集中です。あっでも今魔王城の離れは――宛先があるようでない状況なので――そのうち。落ち着いたら入会してください。以上、2人がデートに出かけたので、先に私が状況説明をしておきました。はい。お2人がイチャイチャらぶらぶするように皆さん念を送ってください。私は今ルーナ様に別件を命令されてしまいましたのでそちらが忙しいのです』


 ソフィちゃんの一言終わり。


 ★


「「――」」


 すると、町へと歩いていた2人が急に立ち止まり。魔王城の離れの方を見た。

 何故振り返ったかというと、今とんでもないことを誰かが誰に向かって言ったのかはわからなかったが。言った気がしたから。


「――セルジオ。今――なんか言った?」

「いいえ。俺は何も――でも――」

「何か今言われたような……」

「気のせい――?」


 2人は何とも言えぬ表情で顔を見合わせていた。

 実際には本当にソフィがとあるところに発信――をしていたが。それをセルジオとルーナがわかるわけがなかった。


「――ソフィがろくでもないことを言った気がする」

「いや、まさか――でも今なんか悪寒がしたような」

「セルジオも?私もめっちゃした。背中がぞわぞわしたのよ」


 わかるわけないはずだったが――セルジオとルーナ。何かを感じ取っていたのは――これはこれでソフィの知らない事だったりする。

 なお、セルジオとルーナも今の感覚。感じたことが何だったのかは結局わからないままとなるのだった。


「えっと――何かわからないのですが。早く町の様子を見に行きましょうか。出発にも時間かかりましたから」

「そ、それは――だからごめん。って、とにかく。そうしよう。ソフィの近くに居ると――なんていうんだろう?別次元?に巻き込まれそう。あの化け物――」

「ルーナ。また攻撃。いや、ここで戦いが起こるかもしれないから、今は余計なこと言わないように、ほんと先に進まないから」

「ここでなら大丈夫でしょ。馬鹿とか叫んでても」

「いや――」


 ちなみに現在ソフィはこの場に居ない。

 そして、居たら戦いが起こっていただろう。

 でもいないので特に何か起こることは――なかった。なかったと言っていいのかは微妙だが――。


 とにかく、今はソフィとは別行動のセルジオとルーナ。

 ではソフィは何を今しているかというと。ソフィには先ほど、ルーナが魔王城の離れ近くの片付けをしている人をまとめ。一緒にその作業をするように伝えてきたからである。

 作業というのは、今現在ヴアイゼインゼルの町は攻撃を受けて壊滅状態。高台から町を見ると、魔王城の離れの周辺だけ無傷で、魔王城の離れを中心にというとわかりやすいのか。とにかく魔王城の離れ以外。その周りは壊滅的被害を受けている。


 そして、壊滅的被害を受けているということは、多くの町の人が家を失った。だが町の人の多くが何とか命は助かっていたので、現在は魔王城の離れ近くの無傷だった場所でに避難所。魔術で地の魔術が使える人を集めて、簡易的な生活スペースを作っているのだ。

 避難所と言うと、本来は雨風をしのげるように――といろいろ考える必要があるかもしれないが。ここには天気を操ることができるルーナが居るため。現在は個々のスペース作り。土の壁で仕切り――みたいなことをして、少しでも休める空間をみんなで作っている。なので作業としてはかなり順調に進んでいる。

 なので、壁を作る人の他に、風の魔術が使える人は木々の整理など各自ができることをしてみんなで協力をしてヴアイゼインゼルの町の片付けをしているところである。


 ちなみにこれは余談だが。避難所の案を明日のはセルジオだったりする。

 攻撃を受けて何とか反撃。敵を追い返して一段落した後。ヴアイゼインゼルの町が壊滅しているのをみんなで見た後――多くの町の人が途方に暮れているときにセルジオが提案したのだった。

 それに対してルーナが即OK。それからルーナとソフィが町の人をまとめて――現在に至る。


 そんなこんなで、避難所に関してはソフィに任せて、セルジオとルーナは魔王城の離れを出て、足場がかなり悪い道を歩いていた。

 どこに向かっているかというと。現在ルーナがこのヴアイゼインゼルの町の長と町の人から言われている。その長の仕事としてルーナは町の被害状況の確認に出かけているところだ。

 それに付き添っている。ルーナから命を受けてサポートしているのが。いつの間にか何でも屋。と周りの人から思われているセルジオである。

 本当は人間界に住んでいたセルジオ。しかしとある日を境に魔界で生活をすることになり。今に至る。

 ――本来は魔王城の離れの雑用係。などという感じったが。気が付けば何でも屋である。なお。一部の人は今のセルジオに対して、子守係。と言っている人も居るのだが。その理由はまた別の機会に――いや、ちょうどその話題が始まるかもしれない。


 ◆


「ルーナ。ここから先どんどん足場が悪くなるから足元注意で」


 魔王城の離れを出て、攻撃の被害が色濃く残っているところにセルジオをルーナは足を踏み入れていた。


「えっ。あっうん。ってか、セルジオ私のことも最近子ども扱いしてない?」

「――いやそんなことは――」


 歩いている途中。セルジオの態度で、とあることを感じたルーナが今は何とも言えない表情をしていた。これは町の様子を見て。ではなく。セルジオの態度を見て。である。


「――ちゃっかり女の子拾ってくるセルジオだもんね」


 そして少し面白くない。拗ねたような表情をしつつルーナはセルジオの方を見た。

 今この場にソフィが居ればこういうだろ『特別扱いしてもらえないルーナ様が拗ねてます!かわいい!他の女の子にセルジオ様が取られそうでドキドキしてます!』と。しかし今ソフィは不在。なので、そのようなことは起こらず話は進んだ。


「あの。だからそれは何度も話してますが。たまたまで、そして行く当て。両親が居ないからで――」

「わかってるけど。ってか、名前まだ決めてないの?って、他の子もどうするか考えないといけないわよね」

「あkつ、いや、あの子に関しては、俺が勝手に――って、それより。今は町のことですよ。それと、他の子たちのことも考えないといけないので――ルーナ。とっとと歩く」

「あっ。セルジオが無理やり話題変えた。って、最近セルジオも私にはっきり言うようになって来たよね。まあいいことだけど」

「――ルーナ。仕事して。ほんと。町の人が働いているときにルーナが何もしてないとかになったら――だから」

「はーい、まあ、あの子のことに関しては――その、帰ったらまた聞くけど」

「聞かなくていいんですけど……」

「いいの」


 セルジオとルーナが話している。あの子。あの子というのは、ヴアイゼインゼルの町が攻撃を受けた際に、セルジオが助けてきた金髪碧眼の少女のことである。

 が――その話はもう少し後になりそうだ。

 話しながら歩いていたセルジオとルーナは、ヴアイゼインゼルの町の中でも特に被害が大きく。建物も跡形もなく崩れ、燃えた場所へとやってきた。


 ◆


 ちょっと話が脱線しつつも魔王城の離れから歩いてきたセルジオとルーナ。するとルーナは足を止めあたりを見た。


「――」


 ルーナの隣にいたセルジオも足を止めて、何とも言えない表情であたりを見る。


「なんでこんなんことに――」


 そして、ここ最近ヴアイゼインゼルの町に毎日のように通っていたルーナはぎゅっと手に力を込めながら。跡形もなく崩れ去ったヴアイゼインゼルの町を見つつ小さな声でつぶやいた。


 はっきりってかなり悲惨な状態だった。

 今のところ何が起こったのかは、はっきりとはわかっていない。

 でも多くの人が見たのは魔界からの攻撃。ユーゲントキーファーの方から攻撃があったということ。

 ルーナ自身は、はじめ本当は人間界からの攻撃と思われていたが。どうもそれは――ソフィの話からしても違う可能性が高くなっていた。


 あと、ソフィの話は――多分正しいだろう。でも今ではまだ確証がないので断言はできないが。

 現状この町は、ヴアイゼインゼルの町は人間界から。そして――魔界からも切り離されたような状態になっている可能性が高い。

 つまりは――人間界からも、魔界からも不要とされた土地。

 もちろん何故突然そんなことになったのかは――すでにわかってる。


 この場にが居るから、邪魔になり消しに来たのだった。

 

 すでにルーナもそのことはソフィから聞いており。自分は捨てられた。切り捨てられたことを知っているが。今はヴアイゼインゼルの町の片付けを集中的にしているためそのことに関して触れることはない。

 ルーナのその様子を見たヴアイゼインゼルの町の人もそのことに関しては触れる雰囲気はない。むしろ――周りから何か言われたら間違いなくルーナを守るだろう。

 何故なら、攻められた際に、ルーナの攻撃。魔術が何故かに威力を増したため。一撃でヴアイゼインゼルの町を守り敵を蹴散らしたからだ。

 なので町の人からすれば、魔王なんかより。ルーナ。という状況である。


 ちなみに、その後再度攻めてくるような状況は今はない。また人間界の方も今は音沙汰なしである。



「セルジオもう少し他も見て行こう」

「わかりました。足元気を付けて」

「大丈夫何かあったら魔術でぶっ飛ばすから」

「――だからルーナ。今ここで活動している人も居るから魔術は禁止です」

「あっ」


 セルジオに注意されてルーナはハッとする。少し怒りでみんなで決めたことを忘れてたらしい。


 現在ヴアイゼインゼルの町中には、何人かの人がルーナやセルジオと同じように数人でまとまり。瓦礫の山となった町へと入っている。

 自分の私物を探す人――家族を探す人などが町へと出ている。


 しかし町中ははっきり言って危険だ。

 今にも崩れそうな建物もある。それに、またいつ攻撃が来るかわからない状況なので、今のところは複数人で動くこと。というのを決めて皆が動いている。

 なので、もしかすると、探し物をしている人が近くにいるかもしれない。その際にもしルーナなどが風の魔術を使ったりすれば――なので、今現在ヴアイゼインゼルの町中では魔術は緊急時以外使用禁止となっている。

 本当は上級魔術を使える人がたくさんいれば、捜索なども簡単にできたかもしれないが。ヴアイゼインゼルの町にはルーナ、ソフィくらいでさすがに2人でもこの荒れ果てた瓦礫の山の中から捜索というのはできず。各自が地道に探している現状である。

 なお捜索に関しては期限を設けている。それはソフィの提案だが。何日も捜索だけで日々を過ごしては再度何かあった時に何もできない。なので捜索は数日5日程度でその後は早急に町の復興へと取り掛かることになっているので、今はちらほらと町中で人の姿を見ることもできる。

 中には魔王城の離れで避難所作りをしつつ捜索もという人も居るとか。


「よし。セルジオ歩くよ」

「はい」


 それからセルジオとルーナはぐるっとヴアイゼインゼルの町をまわって状況確認をしてから魔王城の離れへと戻ったのだった。


 なお、離れへと戻った際。


「デートは楽しめましたか?」


 などというソフィの言葉でひと悶着また起こったのは――いつものことということでまとめておこう。

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