セルジオの新しい日常

3-1 とある1日

 セルジオがミスにより受けた魔界の求人で、魔王城離れに来てからしばらくが経った。

 そしてセルジオが魔王城の離れへとやってきたことで、次期魔王ルーナの生活も大きく変わっていた。


 ★


 最近の私は、朝になればちゃんと1人で起きているようになった(寝ている時に服を無意識に脱いでしまう癖はそのままだが……暑いから仕方ない。それに、起こされる前に起きれば、見られることはないと学習した。だから1人で起きれば問題ない)。

 そして、着替えも自分でするようになった。今思うとどうして他人任せだったのか――思い出すと恥ずかしい。どこかに潜りたい。私何していたの……寝不足で寝ぼけていたから、適当に返事をしている間にいろいろされていたけど……ダメだ恥ずかしい。今はもうないんだし忘れよう。あれは過去の出来事。今は起きている。


 着替えを終えて少しすると少し前にソフィが連れてきた雑用係。セルジオが私を呼びに部屋へとやって来る。

 ちなみに、セルジオはいつも時間ピッタリに来るので、最近の私はそれまでに着替えを完璧にしておいて。


 『どや』

 

 と、セルジオに見せるのがひそかな楽しみ。はじめの時の私とはもう違うのです。1人で起きて1人で着替えまで完璧にできるということをアピールする。


 そのあとは、最近になって楽しみになった時間。朝食の時間となる。

 セルジオは今までの人とは違い。毎食美味しい料理を作ってくれるため。食事の時間が好きになっていた。

 今までは自分が作れないから、ホント仕方なく出てきたものを食べているだけだったけど……。

 ふと、今までを思い出すと、ソフィの作る料理は、毎回目から火が出るくらい辛いからもういらない。

 それまでの人は、身体に良いと薄気味悪い色で、味も最悪。いつも薬を食べさせられているみたいだったからもういらない。

 だからセルジオの作ってくれる料理はとっても美味しい。

 少し前に初めて食べさせてもらったお米?だっけ?あれ最高。お米だけで私ずっと生きていける。まさかの食べ物と思っていなかった物があんなに美味しとは。それにお米なら、どんどん魔王城からこの屋敷に送られて来るから、しばらくはお米パーティができるみたいだし。

 それもあって、ちょっと体重が増えてないか心配だけど――でも食事の後私も動いているから大丈夫のはず。


 食事の後は掃除。

 主に私は洗濯をしている。今までは全くしてこなかったことだけど。ソフィのせいですることになった。というかせざるおえない状況にソフィがした。

 何故かというと、今までソフィがしていたことが。セルジオが来たことで、基本全てセルジオの担当になった。

 つまり洗濯もセルジオ。セルジオは男。男の人に私の服。下着などを洗ってもらうのが恥ずかしすぎて、洗濯だけはすぐに教えてもらい覚えたから。

 一応言っておくけど、私かなり頑張って覚えたから。まだミスも多々するけど――でもセルジオは怒ることなく(ソフィなら絶対面白がってめちゃくちゃなお仕置きしてきていると思う)。何度でも教えてくれるし。だから私遂にできる子になった。


 私が何とか洗濯を終えて少しすればあっという間に昼食の時間。今までだと午前中はうとうとで、お昼も食欲がないことが多々あり。食べないこともあったけど。今ではお昼も楽しみな時間。また美味しい料理が食べられるから。この前食べたうどんというのはすごくおいしかった。人間界にはいろいろな料理があるみたいでちょっと興味が湧いた。そのうちセルジオにいろいろ聞く予定。


 昼食の後は自由時間。今までのように私はだらだら――と見せかけて、基本午後は自分の部屋に籠って、以前は深夜していた勉強をこっそりしている。

 何故深夜に勉強していたのを変えたかって?そりゃ夜更かしすると、朝起きることができないから。起きれないとセルジオが来ちゃう(ソフィ曰く私が起きていなかったら、全部セルジオに――って、そんなことになったら私お嫁に行けないから!すでにちょっと見られているけど……あれは事故。ノーカン。って、そもそも私を相手にしてくれる人とかいるのだろうか……)。だから、この時間は絶対に誰も部屋に入らないようにと2人には釘を刺している。そして私の勉強時間は夕方まで続く。

 勉強の後は、今までずっと寝ていて今起きたふりして夜食へと向かう。ちょうど勉強で疲れているから背伸びをしつつとかだと、寝起きにしか見えないのか。今のところソフィとセルジオ両方を騙せている。私が隠れて勉強してることはバレていない。こんなのバレたら――絶対笑われる。魔術が使えない言われたのに、馬鹿みたいに知識だけ独学で得ようとしているとか……。


 とりあえず、夕食の時も『いつも通りだらけていたのですね』などとソフィからは言われているので今のところは大丈夫だろう。

 セルジオに関しても『自分の時間は大切だと思います』と、言っていたからバレることはないだろう。


 そして、美味しい夕食の後はお風呂。もちろん手伝ってもらうということはない。ちゃんとお風呂場に1人で行って入っている。

 ここでも今思うと、何故に今までの私は、めんどくさがって部屋で『身体拭いて』とか言っていたのだろうか……恥ずかしい。

 あと、セルジオの性格的に何も言わないと思うけど、一応異性と生活しているわけだから――綺麗にしておかないとと今は思っている。

 あっ、もしかしてソフィ。それもあってセルジオを見つけてきた?あれ?でも、それだけでわざわざ人間界からって――そんな偶然あるのかな?なんでセルジオが魔界に来たのかはちゃんとまだ聞いていないけど――でももしかしたらセルジオも魔術が使えないから。何かあってこっちに……だとあまり聞かない方がいいよね。

 話を戻して、私が勉強で疲れて、少しお風呂の前にだらだらしていると。即ソフィがセルジオにお風呂のお世話もしてもらうようにとか言い出して、セルジオを部屋に押し込もうとしてくるから、今のところはちゃんと1人で入っている。

 あと、そもそも面倒でサボっていただけであって、1人で入れるから。ここ大切。私自分のことはちゃんとできる――はずだから。石鹸どれ!?とか――い、今はならないから!

 

 お風呂の後は寝るだけ。今までは夜中まで起きていたけど――最近ではお風呂に入ってからベッドに横になるとすぐに寝れるようになった。というかもう目を開けてられない。疲れて眠い。ベッドって気持ちいんだよ。


 そしてまた朝が来るのだ。これが今の私の生活。


 ちなみに外に出ることは前から比べると増えたが。敷地外に出ることは今のところまだほとんどない。

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