第十話お泊まり会

「どうしてこうなってしまったんだ」


 友達の家に上がり込んで遊び挙句の果てにはゆりかちゃんたちと一緒にお風呂に入ることになってしまったのだから。


 時を遡ること、某日金曜日


そのときは突然訪れた、それはいつも通り4人でお弁当を食べている時だった。




「家で遊んでもすぐに夕方になっちゃってあんまりあそべないよね~」


「わかるぞその気持ち、なんか時間がすぐに過ぎちゃっていつの間にか夕方なんだよな!」


「うん、この前ほたるちゃんと勉強した時もあっという間に時間が過ぎちゃった」




 そこでゆりかが全ての元凶となる発言をした。




「なら、お家に泊まって遊べばいいと思うよ」


「いいなそれ! ずっと遊べて最高だぜ!」


「うんうん、いいねそれ」


「ほたるちゃんもいいよね」


「うん、いいよ」




 ほたるには断る理由が無かったのでもちろん了承した。




「でも誰の家に泊まるの?」


「それなら私の家で大丈夫だよ、私が言い出したんだし」


「うん、じゃあそうしようみんなもいいよね」


「うん」「おう」




 いつ遊ぶかや何を持っていくかもその後順調に決まり早速今週の土曜日に遊びに行くことになった。


 


 お泊まり会当日の朝、ほたるはゆりかに教えられた住所を頼りにゆりかの家へ向かっていた、もうすぐ付きそうだなと思っていたところでにちかとめいひに会った。




「二人ともおはよ~」


「おう、おはよう!」


「おはよう、ほたるちゃん、ゆりかちゃんの家はここなはずなんだけど、本当にここなのかな?」




 めいひが指差した先を見るとそこには、庭には芝生が引かれた大きな豪邸があった。


 よく考えたらゆりかの親は旅館を経営しているのでお金持ちなのは想像出来たはずであった。


 だがほたるはゆりかのお家の大きさに驚き目を離せずにいた。


 すると中からゆりかが出て来たのであった。




「みんな~何してるの~呼び鈴押せば出てきたのに」




 ゆりかは門の所へ急ぎ足で行き門を開け3人を中へと招き入れた。


 ほたるは敷地中へ入っても周りを見渡していて明らか挙動不審であった。




「みんなお疲れ様、遠かったでしょ」


「あたしは歩いて来たから少し疲れたな」


 


 歩いている内にゆりかはほたるが挙動不審なことに気づいた。




「ほたるちゃんどうしたの? そんなにそわそわして」


「え、いや、ゆりかちゃん家がすごくてつい、いろいろ見ちゃって」


「それなら見てほしいぐらいだよ、お父さんとお母さんがきれいに整備したお庭だし」


「へ~そうなんだ、技術があってすごいよ」




 家の扉へ着くと両開きのドアを開け中が見えるようになった。


 やはり中は豪勢な作りになっていて、廊下だけでほたるのアパートの部屋を超えそうなほどの広さであった。




「うお~すげ~!」




 廊下を歩いている間もにちかは騒いでいた。


 リビングへ着くと最初にほたるが思ったことは、広いその一言であった。




「それじゃあとりあえずご飯にする? 作ると多分ちょうどいい時間になるし」




 時刻は11時を回っていて少し早いお昼ご飯といった時間であった。


 


「うんそうしよう」


「あたしもお腹減ってきたころだからな」




 ゆりかは3人を座らせるとキッチンの方へと向かった。


「あ、テレビ勝手につけてもいいからね、あとそこにあるゲームもやっていいから」


 にちかは早速リモコンを手に取りテレビをつけた。




「びっくりした音が大きいぞ」




 にちかは急いで音量を下げた。




「私の家だとこれぐらいが普通だけどにちかちゃん家は違うんだ」


「うるさくないのか?」


「一切」


「そんなことがあるのか~」


 にちかは新しい発見をした。




 しばらく話していると料理が運ばれて来た、ほたるは豪華な料理を期待していたが実際は意外と普通の料理だった。


「「いただきま~す」」




 ここに居るゆりか意外はゆりかの料理を初めて食べたがとても美味しく、三人はゆりかの料理の上手さを絶賛した。




「お腹いっぱいになったぞ~」


「それじゃあ何する? テニスとかあるけど……」


「おう! するする!」




 にちかの勢いで4人でテニスをすることが早速決まり4人はゆりかの案内ではテニスコートへと向かった。


 ゆりかほたるペア 対 にちかめいひペア、で試合をしたが、ゆりかはとても強くほとんどの玉を一人でとり、あっという間にほたるゆりかペアの勝ちとなった。




「ゆりかちゃん上手すぎ! 私なんか何もしてないよ」


 すこし息を荒くしながらほたるは言った。




「そうかな? テニス部には負けちゃうと思うよ」


「そんなこと無いよ、少なくともにちかの早い玉も取れるってことはテニス部でも戦えるんじゃないかな?」


「そうかな?」




 その後4人はチームを変えたりしながら夕方まで遊んだ。




「汗かいたね~ご飯の前に先にお風呂入っちゃおうか」


「おう」「うん」




 ほたるたちは案内されかばんから新しい服を取ってからお風呂場に向かい脱衣所についた。




「お湯沸かしておいたからいつでも入れるよ」




 そう言うとゆりかは服を脱ぎ始めた。




「ちょっとまって!」


「ん? なに?」


「4人で入るの?」


「うん」


「狭くない?」


「狭くないよ、ほら」


 


 そう言うとゆりかはお風呂のドアを開けた。




「ほら、4人でも入れそうでしょ!」


「確かに広い」




 ゆりかの家のお風呂は浴槽が広く、四人が足を伸ばして座れるスペースがあるぐらい広かった。




 ほたるたちは納得し、服を脱ぎお風呂に入った。




 4人全員が浴槽に入るとほたるは話し始めた。




「みんなありがとうね、こんな私となかよくしてくれて」


「こんななんて、そんなことないぞ、ほたるは大切な友達なんだから」


「うん、ほたるちゃんが入学式の時に話しかけてくれたおかげで、ここでみんなで遊べてるんだしこっちが感謝したいぐらいだよ」


「私もほたるちゃんが居てくれたおかげでお勉強を頑張れたりしたからね、私も感謝したいぐらいだよ、ありがとう」


「みんな……ありがとう嬉しいよ、そう言ってくれて」




 そしてゆりかの部屋で布団を敷いてみんなで寝ました。


 


 時刻は日曜日の朝。


 ほたるはなかなか起きませんでした。




「ほたる~起きろ~」「ポコポコ」




 にちかが軽く叩いてみますが起きません。




 ここでゆりかは良いことを思いつきました。


 しばらくするとゆりかはバイオリンを持って来て引き始めました。




「キ~キーキーキ~」




 ゆりかがバイオリンで大音量で雑音を鳴らすとほたるは飛び起きました。




「うるさい! 何の音?!」




 ほたるは周りを見るとゆりかの家でみんながいる、寝ぼけていたが昨日のことを思い出したようだった。




「あ、ごめん」


「ううん、ほたるちゃんにもこういう一面があったなんてね」


「ほたる起きなすぎだぞ!」


「寝起きが悪くてね、ごめん」




 そう言って4人はご飯を食べ今日も1日遊びましたとさ。

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