ただ静かに喰われていく

シズク

第1話

「今日も雨か・・・まぁ、いいや。」


今日の第一声はそれだった


しかし、昨日よりも勢いが強くないか?

気分の問題だろうか

そんな疑問符を浮かべながら

俺は学校へ行くための準備をする


親がいないから

朝食やら洗濯やらで

普通の学生よりも手間がかかる

今日と同じように

昨日も雨だったから

いつもよりは楽だけど


まぁ、手馴れたものだ

中二から三年間、ずっとやっていれば

身につくのは当然だろう


「課題とかは・・・まだ期限迫ってないし、

大丈夫。朝食も軽く済ませて行こっかな。」


心の整理と学校に行く上での問題がないかの

確認が出来たところで

少し休むことにした


___「ピロン。」

朝の時間の隙間を縫って休んでいると、

携帯の通知音がなった


「・・・今日もか。」


この時間帯で連絡してくるやつと言えば

どうせあいつしか居ない


俺はしぶしぶ、携帯のチャットアプリを開いた


「昼、買えよな」


ただでさえ友達の少ない俺の

アプリのリスト欄の1番上にその文はあった


わざわざチャットを開かなくても分かる

いわゆるパシリだ


「あー・・・"了解"っと。」


これを送ってきたやつ・・・一年なのだが

俺がたてついて来なさそうというのを理由に

入学から二ヶ月も経たずに

漬け込んできていいように利用されるようになった


パシリは自分の分だけでなく

ツレの分も要求するし

休日に呼び出してきて

遠出の荷物持ちにされたり

少し前には自分がやらかして

先生に怒られそうになった時に

擦り付けてきたこともあったっけ


「・・・今月は意外と要求が少なかったな。」


それはそれでありがたいのだが

なんか調子が狂う

・・・多分この感覚は俺もおかしいのだろうけど


___「・・・そろそろ、行くか。」

一通りやることを終えて

学校に行く時間が近づいてきた

雨も降っているし

余裕を持って家を出ることにした


「今日は・・・何か変えられるのかな。」


玄関で靴を履きながら

俺は上を向いて呟く


いつもとさほど変わらない日常

そんな中で・・・


「・・・多分、今日も無理か。」


俺は諦めてドアを開けた

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