1-3

「誰そたそかれ?」と、

きたくなるほど、

あたりが薄暗くなってきた頃、

ふと、下を見ると地面に、

『28番地は向こう』だ、

と示すような数字と矢印が、

チョークのような白い文字で

浮かび上がっていた。


[28→]


細い路地を矢印に導かれるように歩いていくと、ビルに挟まれた行き止まりの場所にたどり着いた。


行き止まりの1メートルほど手前に、

やはり『28』と

右のビルのドアを指し示す矢印と、

『29』と左のビルのドアを指し示す矢印、

そして、探していた『30』と

その場所を示す矢印が

行き止まりを目がけて

真っ直ぐ前に伸びていた。



    ↑

    30

 29←   →28



俺は、頭が混乱した。


行き止まりに向かって進めと言う事なのか?


しばらく自問した後、取り敢えず、そこに向かって歩いてみる事にした。


あと数歩で壁というところで、何気なく下を見ると、何故か、壁と地面の境界辺りが、揺れているように見えた。


俺は思い切ってその境界をまたいでみた。





跨げるハズのないその境界を…。



第2章に続く


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