幻想世界

京朴

underground







 僕達は神に見捨てられた。




現実感が薄らいでゆく、


善悪の判断も出来なくなっていく。

現実なのか夢なのかもわからない。

何も感じない。




堕とされた、神に堕とされた、堕とされた。





 智慧の樹の実を食べてしまった僕達は

『性別』を持ってしまう。

『快楽』を知ってしまう。

『悪』を知ってしまう。

『欲』を知ってしまう。




 神は寛大だ。

そんな哀れで醜い僕達を赦してくれた。








 その中でも神は、僕達を篩に掛けけて選別をした。




『性別異常』『精神異常者』な僕達を

地下へ閉じ込めた。







そうして異常者の烙印を押された、

僕達に神はこう言った、












「お前たちは失敗作だ」って。













神は僕達を見捨てた。












 未成年の飲酒喫煙、売春、落書き、ドラッグ、窃盗など…軽犯罪を繰り返していく。



 この街に来て人間が犯罪をおかす理由がわかった。


刺激が足りない、生きている実感が得られない身体になってしまった。




 盗んだお酒を浴びるほど飲んだ、盗んだ煙草を片手に僕は今日も、安全に眠れる場所を探す。





 


 僕の脳は蛇に喰われていく。せっかく手に入れた『知恵』を奪っていく。




『善悪』の区別がつかなくなってゆく。

『夢と現実』の区別もつかなくなっていく。

『幻覚・幻聴』の症状が悪化している。






 私は誰だったのか?何者なのかも忘れていく。




 …完全に廃人になる日もそう遠くないだろう。







『幸せ』がどんなものかわからなくなっていく。


徐々に私は壊れていく。

体の中を食べられていく。

脳も内蔵も食べられていく。

内側から壊れていく。








戻れない所まで来てしまったのかもしれない。









『友達』はきっとしんでしまった。

連絡がつかなくなった。


『家族』も居ない。

僕があの人達から逃げた。






 帰りたくない、帰りたくない。

帰るところなんて無いけど。




眠れない。夜になると死にたくなる、怖い。

あの人達が私を殺しにくる。

逃げても逃げても追い掛けてくる。






サイレンが鳴ってる、きっと僕を追いかけてるんだ。








最近は薬を飲んでない、

飲んだって意味がないと思ったから。





 同じ境遇だった『友達』とは連絡が取れなくなってしまった。電波が届かない。



『友達』とまた逢いたい、どこに行ったのだろうか、?



元気でいきているだろうか、?

きっとそうだ。元気にいきているよ。









 今日も煙で星が見えない。


昔に『家族』と見た、

綺麗な星空をもう一度見たい。










 頭の中でもう1人の僕が言う、

「大丈夫だよ。逃げて、逃げて、生きのびて」って。











あーあ、、もうすぐ大人になってしまう。











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幻想世界 京朴 @kyouboku

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