第90話 ワールドエリアボス3
「うーむ、やはり
何度かドームに斬りつけた
「ハンマーでも壊せないっす。それに、やっぱり周囲に入れそうな箇所も仕掛けもなさそうっす。ちなみに土の下も同じように囲われてたっす」
ドーム周囲を確認していたドゥーエ達土竜族も収穫はなしのようだ。
◆[やっぱり通常の方法では入れないギミック有りのボスエリアか]
▽[そうなるとわん太が本命で
∈[ここまできて入れないのは勘弁にゃ]
「ふむ、儂らでも特に反応はないみたいじゃな」
「えっ、ちょっと
いつの間にか考老来さんたちがドームの表面をペチペチと触っている。しかし、ドームに変化は見られないようだ。
半透明なドームの内側に佇むゴーレムらしき塊も……こころなしかこっちを見ている気がする……
「なんだかロックオンされてる気がする。やっぱ、ボクが行かなきゃだめかわん……」
◯[トリガー乙。たぶん、わん太が触ると封印が解けてボス戦開始するやつだね]
▽[これでわん太が触って何もなかったら笑うな]
∴[それはそれで面白いからヨシ!]
「いやいやいや、『面白いからヨシ!』じゃないわん。いや、それはそれで配信的には美味しい?」
少し悩んでいる間に今回のレイドバトル参加パーティの配置が完了する。
ドームを囲うように背後からも攻撃できるようにある程度均等にいつでも戦闘に入れるように待機している。
「ふぅ、それじゃあ気を引き締めていくわん!」
覚悟を決めて半透明のドームへと手を触れる……プニッ
―― 管理者権限を確認……権限開放の試練を開始します
「ふわぁっ?!」
意外と柔らかいドームの感触とともに不穏なアナウンスが流れ、足元からの光と共に浮遊感に包まれる。
「おゎぁっ!」「これは、転移か?!」「ちょちょっ」
周囲を囲んでいた皆の足元からも光が溢れている。
一瞬視界が光に包まれ、ふわりと着地した。周囲にも次々と冒険者パーティのみんなが転移してくる。
「えぇっ、ここはドームの中……わん?!」
荒れ果てた石畳の残る遺跡の残骸にゴテゴテとした金属塊や複雑なパイプや部品のついたゴーレム……?
▽[はぁっ?! まてまて、あれはゴーレムか?]
◎[ゴーレムって土とか石で出来たでっかい人形を想像してたんだけど、アンメモでは違うの?]
∈[アンメモではゴーレムは未発見にゃ。確かに無機質で出来た自動で動く人型のモンスターをゴーレムと言うならゴーレムっぽいにゃ……]
―― プシューッ、プシューッ
仮称ゴーレムの背中から突き出たパイプからよくわからない煙が排出されている。
「ゴーレム……どう見てもロボットと言ったほうが良さそうな気がするわん……。アンメモは剣と魔法の世界と
◆[VRMMOは元からSFカテゴリーだから問題は……ない?]
〓[わん太っちー、ろぼっとは知らないけど、あれは機人族のアンデッドだよー]
◯[ほーん、機人族ねぇ、で、アンデッド??]
―― 参加メンバーの転送が完了しました。
ワールドエリアボスとの戦闘を開始します。
「わん太様! 防御をするにゃぁ!!」
勝魚さんの声に転移に気を取られていた皆も我に返る。
「キュッキュッキュゥーーッ!!」
―― ガガガッガッガッガッガッガッ
イナバくんによる土壁がせり上がると同時に鈍い音が響いた。
「うわっ、イナバくんありがとわん。あのゴーレム、っていうか機人族のアンデットというか、腕が機関銃だかガトリング砲だかよくわからないのになってるの反則、もうロボットでいいよね」
打ち出されているのは金属弾ではなく、土で出来ているようだがイナバくんの作った土壁にかなり食い込む威力だ。
∪[ボス戦、急に始まりすぎwww けど、やっぱりアレはロボットじゃない?]
▽[機銃掃射は魔法じゃなさそう、いや、弾丸の補充は魔法っぽいかも]
◆[ロボットと言うには装甲が結構スカスカでスケルトンっぽいからアンデッドなのかな]
―― カカッカッ、キンッ!
単発で打ち出される弾丸を勝魚さんが切り落とす。しかし連射される弾丸にたまらず回避してきた。
「うにゃ、この石礫は切れなくはにゃぁげど、相性が悪すぎるみゃぁ」
「魔法もこの距離では届きません、それに、このドームの中は精霊が少ないのか魔法がだいぶ弱くなってます」
「とりあえず、弾除けを周囲に造るっす」
ドゥーエたち土竜族がボス対策に地形を調整していく。
ゴーレム対策として重装備の近接職多めのレイド構成にしたのが悔やまれもするが、これはこれでかなり良い人選だったかもしれない。
◆[今のところボスはあの位置を動こうとはしないね]
▽[攻撃範囲に入らなければ良いが、銃の射程距離の方が魔法の射程より広いから近づくに近づけないと]
〓[アンデッドとはいえ動くと早いから気をつけてねー、ほら、足にも車輪付いてるっしょ]
―― キュィーンッッ
ワールドエリアボスの辺りから甲高い回転音が聞こえてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます