第88話 ワールドエリアボス
青い空、白い砂浜、広がる波間には大きなクジラさんと絡め取る触手……
「こんにちわ~ん、ぬいぐるみ系VTuberこと、猫乃わん太わん」
砂浜に刺したビーチパラソルの下、デッキチェアの上でゴロゴロしながら配信を開始した。
◯[こんにちわん、何をくつろいでというか……どこ?]
▽[いいなー、おれも海でのんびりしたいけど、フォルダンの街の海水浴場はまだ寒いしなぁ]
∈[リゾートでバカンスというには海に巨大な怪獣が見えるのにゃ。もしかしてあれがワールドエリアボスかにゃ?]
うん、この海水浴場がまだ遊泳禁止なのはあの凶暴なクジラさんやイカさんのせいだ。しかも困ったことにあれは――
「ただの雑魚モンスターなんだよねぇ、あのクジラとイカさん……」
アンメモではモンスターのレベルは拠点、つまりは人の住んでいるところから離れるほど強くなる。
特に地続きでない海では更にモンスターが強くなるのだ。
◎[はあぁっ、その島どんな魔境だよ]
▽[そう言えば最初の平原、今はパウリ平原にもでっかい恐竜いたな]
◆[あの時は拠点なしのわん太一人旅だったし。今は見かけないよね、恐竜]
「ある程度の町とかできるとエリア単位でモンスターのレベルが下がるらしいわん。ちなみに北の奥の方とかにはまだ良くわからない怪獣がウロウロしてるって聞いたわん」
∈[それで、結局そこはどこでわん太は何をくつろいでるんだにゃ?]
◯[それそれ、てっきりワールドエリアボス戦の配信かと思ったのに違うし]
∪[もしかして、アビスエビスみたいに海から上がってくる系?]
アビスエビスはラナ王国からルーダン魔王国につながる洞窟を守っていたワールドエリアボスで
同様にワールドエリアボスは守護者として国をまたぐようなところに居て倒すことで他の国への道が拓けるギミックボスと考えられている。
「ボクたちもワールドエリアボスが出そうな海岸を探してたんだけど、どうやらそうではなさそうなんだわん」
南の島へ一番近い半島に面した内湾の一角にこのリゾート地……ではなくて前線基地の村はあるが半島沿いの海岸にワールドエリアボスの領域はなかった。
「そして、ワールドエリアボスはこの湾の真ん中の島にいるっぽいんだわん」
いまだにウネウネしている触手の先に小さく見える島を配信で映す。
❤〚ウネウネちょっと可愛く見えてきたかも〛
◯[島だね、確かにワールドエリアボスがいそうだけど、どうやって渡るん?]
∈[ナギサくんにのってわたるのかにゃ?]
「しゃっ?! しゃ……しゃぁくぅぅ」
ナギサくんがブンブンと首?身体を振って島行きを否定する。
「あの触手やクジラだけじゃなくてナギサくんの十倍はありそうなサメやヘビっぽいのもウロウロしてて今のままじゃ渡れそうにないんだわん。そこで、此処に大きな町を作って船で渡れるぐらいにモンスターを弱体化する計画だわん」
◎[なるほど……? 町ってそんなに簡単に造れるものなの?]
▽[わん太のところの土建屋さんは凄いから造れるものかも? いや、わん太の後ろのリゾートと俺等の前線の町比べろよ]
∪[そうよ、前線の町ってもっと殺伐としてるものなのに、なんで観光地みたいになってるわけ?]
ちょっと前にこの村までの道が細いながらも開通した。ちなみに中間地点と言えるエリアボス戦を行った辺りにも新たな町が出来ており、そっちはパウリの都への道が完全にできあがっている。
「いや、ほら、ここのところ暑かったし、海水浴場とかあったらいいなぁって話をしてたらみんながノリノリになってしまったんだわん……」
ビーチパラソルの陰とは言え昼間の日差しはかなり暑いため、良く冷えたキウイジュースを一口飲んだ。適度な酸っぱさが体にしみる。
「ワールドエリアボスを探してて発見したんだけど、この辺の森にはキウイが結構いるんだわん。おかげで、キウイジュースが飲み放題になったわん」
▽[んん?? ちょっと待て。そのジュースはキウイジュースだよな。緑で丸っこいやつ]
◎[良いよねキウイ。ヨーグルトと混ぜてジュースにするのも結構好きかな]
◆[あっ! この辺の森にキウイが結構いるって言った??]
「そうわん。緑で丸っこいやつだけど、やっぱりそっちにもいるの? 時々赤いレッドキウイと、かなり稀に金色のゴールデンキウイが出てきてこっちはかなり
ただし、どのキウイも小さくですばしっこいため倒すのは割と難しい。アイテムのドロップ率がかなり高いのが救いではある。
「さてと、キウイの話をしてたらもっと食べたくなってきたわん。狩りにいくので今日のところではこれで終わるわん。ばいばいわーん!」
◯[キウイ買ってこようかなぁ、ばいばいわん!]
▽[キウイが落とすキウイ?]
◎[ばいばいわーん!]
―― 本日の配信は終了しました……
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名称:キウイ
説明:キウイに似た
キウイおよび鶏肉をドロップする。
キウイに似ているためキウイと名付けられたキウイに似ているためキウイと名付けられたと言われている。
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