11.王様みたいだ
宇宙人?
コスモは、人間、エルフ、ドワーフ、魔族しか知らない。
そんな種族が存在したのだろうか?
「ユリは知ってる?」
「いえ、知りません」
困惑している2人を見て、ヨシムラは爆笑し、椅子からひっくり返った。
「いてて、
ヨシムラは椅子に座り直した。
「簡単に言うと、かなり……かなーり遠くの地球って所から来た人間だと思ってくれていいよん♪」
「だから考え方が違ったんですね」
「そういうことよん♪」
狂っていたように思えたのは、全く別な所で生まれ育ったからなのだろうか?
もしや地球という所にはヨシムラのような人間が大勢いるのだろうか?
(100万光年がどれだけ遠いか分からないけど、あんまり行きたくないね)
そう思うコスモであった。
興味を持ったと思われて、強引に地球送りにされても困るので、あまり深く
「自己紹介も済みましたし、そろそろ本題いいですか?」
そんなことより、今はもっと大事なことがある。
「本題?」
「はい、私達に協力……つまりは防具などを提供してくれるって話だったのでは?」
そう、最初その為にここに来たというのに、戦闘を仕掛けられたりで散々である。
「そうだったね♪ じゃあ、早速! と行きたい所なんだけど、どんなのがいい?」
「軽くて機動力を損ねなくて、防御力も高められるような防具ってありますか?」
コスモは遠慮せずに言った。
「難しいこと言うね♪ 実は、今私がしているアクセサリーがそうなんだけど、これは量産が難しくてね。1つしかないんだ」
ヨシムラは2つの指輪を見せる。
これにより、ヨシムラは肉体を強化しているようだ。
「あれ? 2つ目はなんの効果があるんですか?」
「ああ、これはね。1つ目の指輪の副作用を抑える効果があるんだよ♪ これがないと体が耐えられなくてボロボロになっちゃうからね♪」
「なるほど」
やはり便利なものには、副作用があるようだ。
かなり細身のヨシムラでさえ、あの身体能力を発揮できているのだ。
副作用があって当然かもしれない。
「これとかどう?」
「重いですね……」
色々と紹介してくれたが、しっくりと来るものがない。
「さて、冗談はここまでにして♪」
「冗談!?」
「いい防具があるんだよ♪」
その防具とは……。
「うわぁ! コスモさんかっこいいです!」
コスモが渡された防具は、防具と言っても服のような素材であった。
防具屋で見つけた500万円の防具と似たような感じだ。
デザインは白を基調とし、所々に紫が入っている。
下半身はミニスカートだが、スパッツでガードされているので安心だ。
「王様みたいだね♪」
ヨシムラは拍手で称えた。
「背伸びしている感じがいいね♪」
「誉めてるんですか……?」
「うん♪ あっ、勿論防御力もかなりのものだよ♪ 例えば!」
ヨシムラは突然刀を取り出すと、刀でコスモを斬り付けた。
だが、コスモにダメージはなく、刀が折れる。
「こんな感じで素晴らしい防御力も持っているんだよ。うん、素晴らしい!」
「た、確かに凄さは伝わりましたが、心臓が止まるかと思いましたよ……」
コスモは冷や汗をかいた。
完全に油断していたからである。
「わりぃ! 実はまだテストしてなかったから、早く試したくてウズウズしてたんだ♪
「は?」
わりぃ! で済むのはやはり地球人だからだろうか?
やはり、油断はできない人物だ。
だが、ヨシムラが生み出した防具、その防御力は確かに本物のようだ。
一見、服と変わらないというのに、コスモには傷1つすらないのだ。
勿論、その防具が破けることもない。
「先にテストしておいてください……例えば、着てない状態で、防具に攻撃するとか……」
「いや、それはなんか違うかな? こう、ギリギリ感がないからね♪」
ヨシムラは右手で眼鏡をクイッと上げ、それを光らせるように笑った。
「ヨシムラさん……やっぱりあなたどうかしてますよ!」
「そうか、なぁ……? ま、いいや、ユリちゃんにもプレゼントがあるんだ♪」
ヨシムラは1つのゴツイ指輪をユリに渡した。
「これは? アクセサリーですか……?」
「防具の役割も果たすアクセサリーだね。名付けてシールドリング! 効果は、相手からの攻撃を自動で察知し、シールドを張るって感じかな♪ 指につけておくといいよん♪」
「テストは……」
「してないよん♪ でも、嫌がりそうだから、後で君達でしてねん♪」
「そ、そうします」
下手に刺激しない方がいい。
おそらくユリもそう思っているのだろう。
ユリはシールドリングを受け取ると、その場から一歩引いた。
そしてその後。
「じゃあ、そろそろいいかな? 私もやることが山ほどあるからねん♪ 色々と……ね」
「はい! 色々とありがとうございました!」
危険もあったが、貰った物は本物だったので、その点は感謝している。
コスモはユリと一緒に頭を下げた。
「私達も、魔王頑張って倒しますので! ヨシムラさんもお元気で!」
「まぁ、ちゃっちゃと倒しちゃってよねん♪ 怖くて外歩けなっちゃうから……サクサクサクっとお願いするよ♪ 私の為にも、ね?」
「頑張ってみます」
随分と軽く言うものだ。
「じゃあ、転移クリスタルで戻ってね♪」
そう言うと、コスモとユリに転移クリスタルを手渡した。
よくもまぁ、ここまで高価なアイテムをポンポンと使わせられるものだ。
「ふぅ」
2人は
今日は色々とあり過ぎたのだ。
本当は防具を見るだけだったのだが、ヨシムラのせいである。
だが、2人は次の日も休めそうもない。
「ええええええええええええ!?」
ユリは叫んだ。
冒険者ギルドに依頼達成の報告をしていなかったので、冒険者ギルドに行ったのだ。
そうしたら、なんと……。
「はい。コスモさん、あなたに挑戦状が届いています」
受付の人が、コスモにそう言ったのだ。
「こここここ、この人は! Sランク冒険者を超えた、SRクラス冒険者!? コスモさん! 流石にやばいですよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます