第31話 俺って一人暮らしができるかも? (2)

 そう、俺の担任の久美ちゃん先生ともっと仲良くなり、気軽に、『先生! 今日家の遊びに来ない!』と誘い。


 俺は久美ちゃん先生を『久美!』と名指しで気軽に呼べるような立場に成りたいのに。家のお袋様が親父様へと可笑しな事を申し始めるから、俺の顔色はどうしても変わってしまう。


 でも俺の邪な想いとは裏腹に、家の両親の会話は更に続いていく。


「……ん? 新作を兄貴の所にかぁ?」


「うん、そう……。だってお兄さんの所ならば健ちゃん達が遊びに来て、家が不良の溜まり場になると言う事はないでしょう? 新作も自分の家ではなく、他人の家ならばちゃんと場をわきまえてくれると思うの? あの子は確かに、勉強ができない、頭の弱い子かも知れないけれど。あの子の校風に流れない、真面目な容姿の通りで、最低限のマナーはちゃんと守る事が出来る子だから。あなた、新作は、お兄さんやお姉さん達にも迷惑をかける事はないと思うの?」



 まあ、こんな感じだよ。俺が動揺……。親父さまが困惑しようが。


 お袋様は、俺の事を褒めているのか、貶しているのか、よくは分からんが?


 俺ならば伯父さんの家に下宿、居候をさせてもらっても。伯父さんや伯母さんに迷惑をかける事はない、大丈夫だからと、自身の胸を叩いたみたいだ。



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