第23話 転校する? しない? (5)

「母さん?」


「何、あなた?」


「あの馬鹿で阿保だった新作の奴がやっと大学行こうと勉強をする気になったのだから。あいつだけ、この家に一人で住ませて。俺達二人で会社の移転先へと引っ越すか?」


 家の親父様の口から、俺の願い、容貌が漏れた。


 だから俺は歓喜だよ──!


(おっ! マジ! 親父! ありがとう~。俺~、新作~! 感謝! 感激! バ〇モン〇カレー!)と。


 俺が自身の脳裏で叫ぶくらい歓喜! 感動した。


「う~ん、そうね」


 でも、一人息子の俺の事が可愛くて仕方がないお袋様の口から、親父が出した提案が余り、気乗りしないのだと言った物言いの台詞が漏れるから。


(えっ! 嘘だろう?)と。


 俺が自身の顔色を変えれば。


「この家の近所には、不良の健ちゃんがいるから駄目よ。お父さん……」と告げる。


「……ん? 何で母さん、健ちゃんが近所にいたら駄目なんだ?」


 う~ん、どうやら家の親父様は、お袋様の話しを聞き、首を傾げたらしい。


 そして俺も(何で大島が近所ならば駄目な訳?)と、親父様のように思う。


「……ん? 何で、ッて、お父さん……。健ちゃんは不良、ヤンキーだよ……。そんな彼等が、新作が一人暮らしだとわかれば。この家は直ぐにたまり場……。事ある毎に警察へと通報を受け、私達夫婦は警察に呼ばれ、新作を迎えにいくようになるわよ。お父さん……」と。


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