生きるということは旅
夢ノ千尋
第1話 202303 養老
ミッション
養老の滝,養老サイダー,養老山地
本日はTOEICを朝一番で受けて午後はフリーである。今年に入ってからずっと勉強していたので上手くいくと嬉しいと思いつつ受け,受けた感じはそれなりにできただろうという過去一番の手応えであった(730点だった)。
せっかく名古屋の街なかまで出てきたのだからその足で何処かへ行こうかと思いたち考える。名古屋で午後から行けるところ。それでいて,行きたかったところ。
養老の滝。
愛知の民ならば,皆知っている。愛知の西の方には養老山地という山脈があり,由緒正しく有名な養老の滝がある。なんやかんやいろいろな滝を見てきた私としては一度行っておきたい。そして養老山地を作り出しているのは濃尾平野の西縁に走る活断層であり,地質屋としては断層が作り出した地形を一度はみたいよね。
養老の滝へは,鉄道では近くにある養老駅からアクセスできる。大きく分けて名古屋駅からのルートは2つあって,1つは桑名駅まで近鉄かJRで行き,養老鉄道に乗り換えて行くものである。もう一つはJRで北に出て大垣駅まで行き,養老鉄道に乗り換えて行くものであり,今回はこちらを使用した。時間はどちらもそう変わらず1時間程度である。
大垣駅で乗り換え,各駅停車の列車で一路養老駅へ。真っ平らな濃尾平野を南へ向かいます。途中で直角に曲がり,養老山地の方向である西へ。段々と近づいてくる養老山脈。
すごい,すごい傾斜だ!
最高地点でも標高908mとそれほど高くないが,標高2mから900mへ。
向かっているのは壁。
これが断層で作られた山地である。この感動はぜひ同じルートで味わってほしい。
壁に向かって進み,そして養老駅へ。年季の入った養老駅は,かつては多くの人で賑わっていたが,今では降りる人も減ってしまっており,数人が降りた程度である。
駅舎は大正時代に作られており,洋風建築と和風建築の和洋折衷の賜だ。ホームには多数の瓢箪が飾られている。養老のいたるところで瓢箪がみられる。お土産にもいいかもしれない。
さて,養老の滝へと向かう。
このときは何も知らなかったが,駅から滝まで直線距離で2kmあるのである。平坦なところを2kmではなく,延々と登りである。しかしタイミングのいいところに,シャトルバスが来てくれた。養老の滝が属する養老公園の入り口まではシャトルバスで行くことができ,1km近くショートカットできる。
数分程度,バスに揺られ到着。
駐車場には車がびっしりと止まっており,駅の寂れ具合とは対象的である。結局カーツーリズム時代。観光地が賑わっても鉄道の利用者は増えないのだ。よほど駅から近いとか駐車場がないとかセットでお得とかない限り。辛い時代だ。
ただ実は多数の人たちの半分以上は養老の滝ではなく,隣接するこどもの国の利用がメインであろう。そのため当然ながら子供を連れた家族で溢れていた。
入り口のゲートを超え,川沿いをてくてくと登っていく。道沿いにはお土産屋,飲食店が並んでいる。数はそれなりに多く,今も維持できるぐらいの人が来ているのだろう。事実,昼過ぎに行ったが,道中混んでいるというほどではないが人がいた。
店のあるゾーンを抜けると,本格的な山の中へ入る。右岸側に整備された遊歩道からは点在する小崖がみられ,主にジュラ紀の付加コンプレックスの堆積岩が露出している。褶曲を受け,地層はぐにゃぐにゃと曲がっている。
ひたすら登っていき,ようやく養老の滝へ。
落差30mの滝は想像以上に立派であった。
と書いたが,正直すごいという印象は受けなかった。歴史的な景勝地であるという点が重視されていて,他にも同じくらいの印象を与えてくれる滝はあると思う。
滝をあとにして,息とは逆の川の左岸側を降りていく。
途中,ロープウェイ乗り場を横切る。
錆びた昭和時代の看板が見え,入り口は閉じられているようだ。
調べた限りロープウェイがあるなんて,どこにも書いてなかった。調べると,もう廃止されているらしい。一度乗ってみたかった。麓にある養老神社に寄り,下っていく。ミッションは達成し,駅へと戻りつつ名物の養老サイダーを買おうと思いつつ,気づいたらお土産屋ゾーンを抜けていた。
どこかで買える場所はないか。こどもの国の売店で買えるかもと考え,途中で寄る。ちゃんと売っていた。3本購入し,1本だけもらう。甘みがほどほどで懐かしいサイダーの味だ。一緒に購入した団子もたいらげ,来るときよりもより駅側のバス停から,駅に戻る。
帰る前に駅前にあるきび羊羮本家がある。ここでは名物のきび羊羹を購入できる。地元で取れたきびを羊羹に混ぜ込み,一切保存料を使用しない羊羹は,全く日持ちしないが,きびのぷちぷち感が新鮮な懐かしい味がする。店主から駅舎の由来や冷やしたり凍らせたりという美味しい食べ方を聞いて,後にする。
名古屋へ向け電車が走り出す。秋の紅葉,冬の雪と季節により景色を変えるという養老の滝に再び来れるだろうか。そしてそのときは由緒正しい千歳楼に泊まりたいものである。
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