第4話 夜に盗む

  我が家の玄関先には、手のかからない花を鉢に植えて、置いている。

「手がかからない」ので、放っておいても毎年咲いてくれるものも多い。

「リコリス」もそのひとつで、球根植物なので花が咲き終わりしばらくすると、葉も落ち、地表に球根の先が見えているだけになる。また秋に葉が出てきて、きれいな花を咲かせてくれる。

  秋、葉が出てきたのを見て、今年もあの花をみられる、と楽しみにしていたのだが、葉が出てくると、次々落ちている事に気付いた。よく見ると、球根の周りに積み上げられたふんを発見した。

 さらに球根を触ると、中がスカスカしかかっている。

 球根の茎のところの切り口部分〔丁度ストローのように空洞になっている〕を覗いたら、なんと、あちらさんと目が合ったのである!!

 テレビで、小さな 穴からのぞき見したら、向こうからものぞく目がある、というシチュエーションを観たことがあったが、我が身にもそれが、起こったのである!!心臓バクバク!!

  慌てて、ネットで調べると、「夜盗虫/ヨトウムシ」だと判明した。割りばしでつまみあげると、長さ4センチほどの幼虫が数匹出てきた。

 ヨトウガの幼虫らしく、夜に活動するので、この名前がつけられたらしい。

 そういえば、蛾が、鉢の辺りを飛んでいるのを、見かけたことを思い出した。

 油断すると、また発生して、その年花は咲かなかった。


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